2023年 02月 28日
トヨタ16代目クラウン(クロスオーバー) |
さて発売前から色々物議を醸し出した新型クラウンですが、発表前後のアレルギーも実際街中を走り始めると沈静化し、割合好感を持って迎え入れられているのではないでしょうか。その辺りは後半に詳しく記しますが、先々代のピンククラウンの時と同じような手法を取ったなと感じています。
ではまず実車に触れてみての感想です。発表前に大きく問題となったのは、クラウンのFF化とSUV化でした(消滅というモノもありましたが(笑))。現状世の中の車の多くがFFかFFベースの4WDですので、クラウンが前輪駆動になっても無くなるよりはマシかと考える人が多かったと思いますが、クラウンがセダンでは無くなってSUVになるというのには、消滅するよりも大きな拒否反応があったと思います。
その後新型クラウンとしてデザインが発表された4台の中には、セダンもキチンと含まれていましたので一安心でしたが、SUV化というのもウソではなく。最初にデビューするクラウンはSUVとセダンのクロスオーバー、その名もクラウンクロスオーバーでした。ただこれSUVナンデスカネ?リフトアップされた4ドアクーペ(セダン)で、SUVの要素ほとんど無いと思うんですよね。リアはハッチバックじゃないですしイスも倒れません。
対して4台のうちのワゴンだとされたエステートは、むしろこれこそ誰もが思い描くSUVで、マカンみたいなクラウンスポーツはクロスオーバーSUVで、トヨタの考えるSUV像と一般の感覚には隔たりが有るように感じます。SUVだSUVだと言われていたので拒否反応があったものの、実際見てみたらクラウンには見えないけれどなんだか格好よいスタイリッシュなセダンだった。それが比較的好感を持って受け入れられている理由だと思います。
外観デザイン、フロントマスクは全くクラウンらしくなく、それでいてグリル部分も空気を取り入れる機能は無くプラッチックの板なのですが、そこにはアルファードのようなワニ革を思わせる下品な柄が装飾されています。とはいえ筆者がデザインで気に入らないのはその点ぐらい。派手なツートンのバイトーンカラーはSF的で未来の車を感じさせて好印象ですし、白黒はともかく意外と単色グレーメタなんかでもこのSF風味は感じられて格好良いです。
では問題の内装です。ドアを開けて気づくのは、車高が高くなっているのでサイドシルの位置も高いのですが、そのサイドシルを昔のサーブのようにドアで覆う形にしているのは服が汚れづらくて良い点ですかね。運転席に座ってみると、一瞬カタログだけでなく目で見た質感もなかなか良いように思えます。デザイン自体がいわゆるトヨタ!クラウン!!な木目テラテラ内装でないのと、巧みな差し色の配置で、黒一色内装「以外」は上手く安っぽさを誤魔化せています。
ただそれもこれも触れた瞬間に魔法がとけてしまいます。ドアのガッカリする位置や一番目立つセンターコンソールにハードブラを堂々と使ってる謎。今回のクラウンはざっくり旧型より100万安くなっています。その為にFF横置きプラットフォーム採用を含めて色々コストダウンされてるのは仕方ないと思うのですが、ハードプラを使う場所はもっと工夫して隠せるのではないでしょうか?なぜこんな目立つ部分に使うのでしょう?
後席に回ってもコストダウンは感じます。FFベース化で足下は大変広いんですけど、前席より一段質感を落とされたドアパネル。クラウンと言えば後席に大事な人を乗せる車でもあったんですが・・・その不足しているくつろぎ感を演出する為か、背もたれがやわらかく変に沈みこむ感じで背中が丸められるのも気持ち悪いです。これでは背中も腰も痛くなりそうです。
この車は結構特殊なサイズの21インチタイヤを履いています。昨今見映えを良くする為にタイヤサイズはどんどん大きくなっていますが、実際問題4.5年乗った後にタイヤ交換をすることを考えると頭が痛くなります。21インチタイヤ4本交換したらいったいいくら掛かるのでしょう。17インチぐらいで格好よく見せられないものかと(18インチまではダウングレード出来るらしいです)。そう言う意味でもサブスクか残価設定ローンで3年ごとに乗り換えるのが正解なんでしょうか(笑)。
その21インチタイヤにビビリつつ運転してみると多少の突き上げは感じるモノのそれほど酷い物ではなく、なかなか上手く大きなタイヤを履きこなしてるとは思います。ただそれ以前に乗り心地乗り味にはなんら感動する部分が無いのが問題。強く踏むと4気筒エンジンがうなりハイブリッドならではの静粛性も足りなく思いますし、乗り味もいかにもTNGAっぽい無味無臭な感じでクラウンらしいしっとり感はありません。先代から希薄だったとは言え、FF化でよりクラウンらしい乗り味からは遠ざかってしまったように思います。
ではまとめます。このクロスオーバーがクラウンらしいかは一旦置いておくとして、前記したようにデザインは格好良いし新味が有るのでかなり注目されると思います。ブラックのバイトーンもインパクトが大きく白一色、黒一色のモノよりディーラーでの集客効果も高そうです。
ある意味今までクラウンが好きじゃなかった人にこの車を買いたいと思わすだけのモノは充分に有り、中途半端な輸入車買ってた人にうっかりクラウンを選択肢に入れさせてしまうインパクトも有ると思います。また旧型より100万値下げしたのも意欲的で、セダンが出るまでの繋ぎに一旦このクロスオーバーを買う人もいるのではないでしょうか?(幸いリセール良いらしいですし)
最初に記したように、このクロスオーバーはトヨタがクラウンでよく展開するブラフの1台です。100万安いFFベース横置きハイブリッドのクロスオーバーをクラウンですと言い張って出す事により、世に問題提起をし「話題」と「議論」で注目させて大きな宣伝効果を生みだします。この車を気に入った人には喜んで買ってもらい、ユーザー年齢層を下げ、さらに世界中でも売ってみせる。
この車を受け入れられない人には、ミライベースのFRセダンクラウンを、多分旧来よりグンと高い価格で売るつもりでしょう。本当にコストをかけた良いモノにはしっかりとした値段をつけ、それを納得してくれる人にだけ売る。言わばセダンがマジェスタの役割でトップオブトヨタ。そして納得してくれる人の数が多ければ次期型があり、少なければ旧来のクラウンは今度こそ消滅するのだと思います。
トヨタは本当の狙いを隠す為にこういう事をよくします。3世代プラットフォーム使い回しを隠す為に派手なイナズマグリルに論点を集め。イナズマグリルアレルギーを軽減する為により派手なピンククラウンを出す。今回は、クラウンは消滅する→SUVになる&FFになるというリークで不安をあおり、出てきたモノはクラウンとしては微妙ですけど新型車としては充分魅力的でセダンに思えなくもない。最初のブラフガツーンと効いてるのでアレルギーが大きくならないんです。
半導体不足で新車への飢餓感があおられたのも奇跡的に良いタイミングでしたよね(笑)。手に入らないと思うと、微妙かと思ったクロスオーバーも俄然格好よく見える人もいるかと。最初は1年で4種類全部出ると言う話しでしたが、結果的に1年に1種類ずつじっくり出る形になってもシリーズ全体成功するのではないでしょうか?(2022.7月発表)
https://carview.yahoo.co.jp/ncar/catalog/toyota/crown_crossover/FMC001-MC001/
ではまず実車に触れてみての感想です。発表前に大きく問題となったのは、クラウンのFF化とSUV化でした(消滅というモノもありましたが(笑))。現状世の中の車の多くがFFかFFベースの4WDですので、クラウンが前輪駆動になっても無くなるよりはマシかと考える人が多かったと思いますが、クラウンがセダンでは無くなってSUVになるというのには、消滅するよりも大きな拒否反応があったと思います。
その後新型クラウンとしてデザインが発表された4台の中には、セダンもキチンと含まれていましたので一安心でしたが、SUV化というのもウソではなく。最初にデビューするクラウンはSUVとセダンのクロスオーバー、その名もクラウンクロスオーバーでした。ただこれSUVナンデスカネ?リフトアップされた4ドアクーペ(セダン)で、SUVの要素ほとんど無いと思うんですよね。リアはハッチバックじゃないですしイスも倒れません。
対して4台のうちのワゴンだとされたエステートは、むしろこれこそ誰もが思い描くSUVで、マカンみたいなクラウンスポーツはクロスオーバーSUVで、トヨタの考えるSUV像と一般の感覚には隔たりが有るように感じます。SUVだSUVだと言われていたので拒否反応があったものの、実際見てみたらクラウンには見えないけれどなんだか格好よいスタイリッシュなセダンだった。それが比較的好感を持って受け入れられている理由だと思います。
外観デザイン、フロントマスクは全くクラウンらしくなく、それでいてグリル部分も空気を取り入れる機能は無くプラッチックの板なのですが、そこにはアルファードのようなワニ革を思わせる下品な柄が装飾されています。とはいえ筆者がデザインで気に入らないのはその点ぐらい。派手なツートンのバイトーンカラーはSF的で未来の車を感じさせて好印象ですし、白黒はともかく意外と単色グレーメタなんかでもこのSF風味は感じられて格好良いです。
では問題の内装です。ドアを開けて気づくのは、車高が高くなっているのでサイドシルの位置も高いのですが、そのサイドシルを昔のサーブのようにドアで覆う形にしているのは服が汚れづらくて良い点ですかね。運転席に座ってみると、一瞬カタログだけでなく目で見た質感もなかなか良いように思えます。デザイン自体がいわゆるトヨタ!クラウン!!な木目テラテラ内装でないのと、巧みな差し色の配置で、黒一色内装「以外」は上手く安っぽさを誤魔化せています。
ただそれもこれも触れた瞬間に魔法がとけてしまいます。ドアのガッカリする位置や一番目立つセンターコンソールにハードブラを堂々と使ってる謎。今回のクラウンはざっくり旧型より100万安くなっています。その為にFF横置きプラットフォーム採用を含めて色々コストダウンされてるのは仕方ないと思うのですが、ハードプラを使う場所はもっと工夫して隠せるのではないでしょうか?なぜこんな目立つ部分に使うのでしょう?
後席に回ってもコストダウンは感じます。FFベース化で足下は大変広いんですけど、前席より一段質感を落とされたドアパネル。クラウンと言えば後席に大事な人を乗せる車でもあったんですが・・・その不足しているくつろぎ感を演出する為か、背もたれがやわらかく変に沈みこむ感じで背中が丸められるのも気持ち悪いです。これでは背中も腰も痛くなりそうです。
この車は結構特殊なサイズの21インチタイヤを履いています。昨今見映えを良くする為にタイヤサイズはどんどん大きくなっていますが、実際問題4.5年乗った後にタイヤ交換をすることを考えると頭が痛くなります。21インチタイヤ4本交換したらいったいいくら掛かるのでしょう。17インチぐらいで格好よく見せられないものかと(18インチまではダウングレード出来るらしいです)。そう言う意味でもサブスクか残価設定ローンで3年ごとに乗り換えるのが正解なんでしょうか(笑)。
その21インチタイヤにビビリつつ運転してみると多少の突き上げは感じるモノのそれほど酷い物ではなく、なかなか上手く大きなタイヤを履きこなしてるとは思います。ただそれ以前に乗り心地乗り味にはなんら感動する部分が無いのが問題。強く踏むと4気筒エンジンがうなりハイブリッドならではの静粛性も足りなく思いますし、乗り味もいかにもTNGAっぽい無味無臭な感じでクラウンらしいしっとり感はありません。先代から希薄だったとは言え、FF化でよりクラウンらしい乗り味からは遠ざかってしまったように思います。
ではまとめます。このクロスオーバーがクラウンらしいかは一旦置いておくとして、前記したようにデザインは格好良いし新味が有るのでかなり注目されると思います。ブラックのバイトーンもインパクトが大きく白一色、黒一色のモノよりディーラーでの集客効果も高そうです。
ある意味今までクラウンが好きじゃなかった人にこの車を買いたいと思わすだけのモノは充分に有り、中途半端な輸入車買ってた人にうっかりクラウンを選択肢に入れさせてしまうインパクトも有ると思います。また旧型より100万値下げしたのも意欲的で、セダンが出るまでの繋ぎに一旦このクロスオーバーを買う人もいるのではないでしょうか?(幸いリセール良いらしいですし)
最初に記したように、このクロスオーバーはトヨタがクラウンでよく展開するブラフの1台です。100万安いFFベース横置きハイブリッドのクロスオーバーをクラウンですと言い張って出す事により、世に問題提起をし「話題」と「議論」で注目させて大きな宣伝効果を生みだします。この車を気に入った人には喜んで買ってもらい、ユーザー年齢層を下げ、さらに世界中でも売ってみせる。
この車を受け入れられない人には、ミライベースのFRセダンクラウンを、多分旧来よりグンと高い価格で売るつもりでしょう。本当にコストをかけた良いモノにはしっかりとした値段をつけ、それを納得してくれる人にだけ売る。言わばセダンがマジェスタの役割でトップオブトヨタ。そして納得してくれる人の数が多ければ次期型があり、少なければ旧来のクラウンは今度こそ消滅するのだと思います。
トヨタは本当の狙いを隠す為にこういう事をよくします。3世代プラットフォーム使い回しを隠す為に派手なイナズマグリルに論点を集め。イナズマグリルアレルギーを軽減する為により派手なピンククラウンを出す。今回は、クラウンは消滅する→SUVになる&FFになるというリークで不安をあおり、出てきたモノはクラウンとしては微妙ですけど新型車としては充分魅力的でセダンに思えなくもない。最初のブラフガツーンと効いてるのでアレルギーが大きくならないんです。
半導体不足で新車への飢餓感があおられたのも奇跡的に良いタイミングでしたよね(笑)。手に入らないと思うと、微妙かと思ったクロスオーバーも俄然格好よく見える人もいるかと。最初は1年で4種類全部出ると言う話しでしたが、結果的に1年に1種類ずつじっくり出る形になってもシリーズ全体成功するのではないでしょうか?(2022.7月発表)
https://carview.yahoo.co.jp/ncar/catalog/toyota/crown_crossover/FMC001-MC001/
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by sarorac
| 2023-02-28 23:59
| トヨタ