さろらく。の下書き
2024-02-29T02:57:31+09:00
sarorac
あんな事やこんな事、HPにアップする前の下書きだったはずのブログ
Excite Blog
トヨタ16代目クラウン(セダン)
http://sarorac.exblog.jp/33860841/
2024-02-29T00:00:00+09:00
2024-02-29T02:57:31+09:00
2024-02-29T02:54:57+09:00
sarorac
トヨタ
16代目クラウンはすでにクロスオーバーを当ブログでも取り上げ済みですが、クロスオーバー/スポーツ/エステートは全て同じFFベースのプラットフォームなのに対して、唯一このセダンのみがレクサスLSなどと同じFR用プラットフォームを採用する異母兄弟。クラウンの本流はFRでしたしクロスオーバー発表時にFFベースという事が大きく問題にもなったのでセダンの試乗を楽しみに待っていました。
あーこれは本物。これだけは本物。
さすが800万円クラスを痛感させられました。これが皆が思い描くクラウン。クラウンのあって欲しい正しい姿。それも2.0Lロイヤルではなく(笑)マジェスタ復活というか印象としては初代セルシオが登場した時のインパクトってこんな感じだったんじゃないでしょうか?
筆者は自分が購入出来そうもない車の試乗はあまり行わないので、超高級車(センチュリーとかベンツSクラスとかロールスとか)の経験値が不足しているのですが、今まで乗ってきた車の中で最上の乗り心地の車だと思いました(好きな乗り心地はまた別の話し)。静粛性重厚感全て今まで体験したのとは別次元の乗り物で、筆車の好きな「ふわふわ」ではないけど終始フラットでかつ物凄く湿度が高いしっとりとした乗り心地です。
機械の塊の車の評価が湿度というのも変な話しですが、無味乾燥の車と比べると良い乗り心地の車はしっとりしてると感じてしまうのですから仕方ありません(笑)。アクセルに対する反応、ハンドルの操舵感、ブレーキのタッチ。すべてが過剰でなく適当。言いふらされた陳腐な表現ですが見事に調律が行き届いている感じがします。
サイズはざっくり5m&1.9mでバカデカイ上に、水平貴重なデザインもあり存在感は抜群です。いわゆるメッキでギラギラしたクラウングリルはついておらず、グリルと言われてる部分も旧来の感覚で言えばエアインテークにすぎないのですが、この日本車は何ですかと問われれば、迷わずクラウンと答えてしまうデザインだと思います。
リアは最近の流行にのってファストバック形状で、トランクフードはデザイン上ガラスと錯覚させるなかなか無理矢理なデザインです(笑)。サイドガラスも先代クラウンから採用された6ライトウィンドーですが、ここはCピラーの面積を大きくしてフォーマルな感じを強めても良かったかもしれません。
内装デザインは基本的にはFFプラットフォーム系と同じで、そこに木目調バネルなどを増やして質感を上げています。最初のクロスオーバーが物凄くプラスチッキーで叩かれましたが、その後スポーツ→セダンと徐々にマシになってきました。価格帯で見れば、クロスオーバーは435万〜660万、スポーツは590万〜765万、セダンは730万〜830万。先代クラウンは510万〜740万だったので、今にして思うとクロスオーバーは仕方なかったかなと思います。ただセダンの800万円クラスとしてはもう少し頑張りましょうな気持ちも拭えません。
セダンはFRプラットフォームなのでセンタートンネルが高く5人乗りでありながら真ん中に人が乗るのはほぼ不可能です。むしろショーファー要素を考えれば4人乗りで良かったと思います。この部分はドライブシャフトが通るから高いというより水素タンクを置く都合上高くなってるようで、同様に後席下にもタンクが搭載されていて、後席の着座位置は高くミニバンのシアターレイアウトのように見晴らしがよいです。ただその分頭上空間は狭く、背の高い人は乗り込み時から頭をかがめて過ごす時間が多くなりそうです。水素タンクの影響はトランクにも現れ、ガソリンタンクが後席背後にあった昭和のセダンのようなトランクルームのたたずまいです(笑)。
最初に絶賛した乗り心地ですが、企業VIPの重役車は今やすっかりアルファードらしいですけど、これ乗り比べたら広さ以外ではFRセダン圧勝だと思うんですよね。上記ネガティブ要素としてあげた水素タンクですが、ポジティブ要素として水素タンクがその位置にあるからこそボディ剛性が飛躍的に上がっているそうです。最新のアルファードや補強が行き届いた(と言われてる)レクサスLMに乗った事がないのでわかりませんが、FFミニバンはどうしたってフロアワナワナする印象が拭えません。シエンタベースのJPNタクシーと昔ながらのコンフォート比べたら、後者の方が断然乗り心地良いのと同じではないでしょうか?
クロスオーバーを取り上げた際に、その時はまだ詳しい説明がなかったセダンに対して筆者はこう記しています。「この車(クロスオーバー)を受け入れられない人には、ミライベースのFRセダンクラウンを、多分旧来よりグンと高い価格で売るつもりでしょう。本当にコストをかけた良いモノにはしっかりとした値段をつけ、それを納得してくれる人にだけ売る。言わばセダンがマジェスタの役割でトップオブトヨタ。そして納得してくれる人の数が多ければ次期型があり、少なければ旧来のクラウンは今度こそ消滅するのだと思います。」
クラウンセダンはほぼこの通りの仕様で登場しました。そして現在ハイブリッドは受注停止とクラウンセダンキッチリと売れています。サイズが大きすぎる問題はありますがやはり本物のクラウンを待っている人は多かったようです。また本文中何度も「800万円の高額車」的取り上げ方をしてきましたが、実は本来の意味での最後のマジェスタである5代目2009年〜モデルの価格は610万〜792万でした(6代目モデルは格安ストレッチ版に過ぎないので)。
実は「クラウンの一番高いの持って来てくれ」だと10年以上前のモデルと価格があまり変わっていないんですよ。それでこの完成度なら売れるのうなずけますよね。クラウンセダン。素晴らしく良い車でした。(2023.11月発表)
https://carview.yahoo.co.jp/ncar/catalog/toyota/crown_sedan_2/FMC001-MC001/
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ホンダ3代目N-BOX
http://sarorac.exblog.jp/33816643/
2024-01-31T23:59:00+09:00
2024-02-16T01:23:03+09:00
2024-02-01T01:39:43+09:00
sarorac
ホンダ
さて、ホンダ車試乗するなら何度か話題にした「勝手に試乗して来て下さい」の例のディーラー。セールスさん同乗無しだと自分のいつもの運転パターンで確かめられるので、気づく事が多く大変ありがたいです。試乗したのはカスタムではなくノンターボしかないベースモデル。先代N-BOXに乗っていませんし、それどころかよく考えると最近のスーパーハイト軽自体にも乗った事がほとんど無いので、このN-BOXの試乗はちょっと衝撃的でした。
こんなにぐらぐらなのか(笑)。
筆者はどちらかというとふわふわ好きなのでロールやピッチングにも寛大、その余韻を楽しめる人なんですが、スーパーハイト軽って皆こんなぐらぐらする車運転してるんですか?ちょっと曲がるだけでも昔のフランス車みたいに一発目にグラッと来て不安になり、でもそこからはちょっと粘るって感じなんですね。
確認のため帰宅して色々試乗記読みあさったんですが「倍」衝撃的だったのが「先代と比べて安定感が増してる。背の高さに全く不安を覚えない」的評価をしている自動車評論家山ほど。本気ですか?筆者がおかしいのか??。唯一CGの渡辺敏史さんだけは(CGでも他の人は安定感増した派)、
「驚かされたのがコーナリングのマナーが随分と変わったことだ。以前は一定のGを超えるとロールが急に大きくなって心もとない感があったが、新型ではロールの始まりがより低速域になったものの、そこからロールの量が比例的に推移するようになったうえで、リアサスの踏ん張り感も明瞭に感じられるようになった。」
と評していてこの説明なら納得。グラッと来るのは初期の方が運転者も把握しやすく安心。それでいて一度傾いた後はコントロールしやすいって案配になってるんですねと。まーそれでもぐらぐらな印象は変わりませんけど(笑)。ぐらぐらな印象をさらに強くする要因はブレーキのセッティングにもあります。ブレーキ踏み始めに意外なほど効かないので慌てて踏んで前後にぐらぐら。この横方向と前後方向の揺れ。合わせ技で運転技能判別装置かと。運転ヘタだと一発で同乗者が酔いますね。
デザインは酷評する評論家もいますけど個人的には好きな方向。フィット以降ホンダのデザインはこの系統で、フィットなんか売れない原因はデザインのせいだとボロクソですが、この丸目なロボット顔可愛くて良いじゃないですか。N-BOXは表情だけでなくボディ角のアールのやわらかさもすごく好きですね。鉄板なのにプラッチックに見えるぐらいやわらかで。変にキャラクターラインに頼らないで面の張りで勝負してるのも流行りですし。まー筆者は、どちらかというと不評な新型スイフトもマイチェンノートも「良いじゃないか」って思うへそ曲がりなんですけど。
内装質感デザイン。元々は黒グレーのモノトーン内装大嫌いなんですけど(←カスタムですね)、同じモノトーンでもノーマルの内装はホワイトとグレーの組み合わせがとても大人っぽいです。そこにシートベルトと唯一ぽっかり助手席前のトレーだけコルク風ベージュの配色で独特。最多量販車にこのセンス持ち込んで来たのは素晴らしいと思います。
筆者は現行N-WGNの乗り味をふわふわで最高と評しましたが、同じプラットホームを使用していてもやはり背の高さの影響は隠せず、ふわふわがぐらぐらになってしまうN-BOXはムリだなと思います。この車をぐらぐらさせずに転がせるお母さんとか尊敬します。あ、お子さんゲーゲーしてたらお父さん運転ヘタかもって考えてあげて下さいね(笑)。(2023年10月発表)
https://carview.yahoo.co.jp/ncar/catalog/honda/n_box/FMC003-MC001/
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一瞬復活したと思ったあの頃の日産を振り返る。-3-
http://sarorac.exblog.jp/33764351/
2024-01-01T23:59:00+09:00
2024-01-15T23:35:03+09:00
2024-01-01T02:28:16+09:00
sarorac
日産
まず04年に登場したのは背低ミニバンのラフェスタ。大元は日産ミニバンの元祖プレーリーですが、プレーリー→プレーリージョイ→プレーリーリバティ→リバティ→ラフェスタ→ラフェスタハイウェイスター(マツダOEM)となり消滅。一度も名前が変わる事無くモデルチェンジしてないんですね(笑)。とはいえこの初代ラフェスタも建築風デザインのミニバンとして佳作。特に前期は3代目プリメーラのようなC面風ショルダーラインが三角形にヘッドライトで収束し、そこからボンネットのエッジに繋がるデザインがまとまり良く美しいです。後期型フロントマスクはこの構成ぶち壊しな整形顔で残念です。
ただの箱々したスペース優先のミニバンはセレナに任せているので、ラフェスタのインテリアには遊び心があります。当時の国産車では珍しいルーフ全面を覆うパノラミックルーフの採用や、前記したようにミニバンでありながらコンラン仕様が設定されていました。このコンラン仕様のサンルーフのサンシェードにはストライプ柄があしらわれており、これはフロアカーペットやシートのパイピングにも反復されオシャレ心をくすぐります。
スクエアで高さが抑えられているため一見するとワゴンにも見え、中古車を最近流行りのチープアップ仕上げにすると似合いそうです。ホワイトボディに黒バンパー、ホイールカバーを外したりすると良さげです。また昔の日産サービスカラーとかナショナルの営業車カラーとかも似合いそう。バン風味のミニバン色々楽しめる車です。
続いてティーダ。サニーとパルサーの統合車種でカローラクラスとなる当時のファミリカーとして非常に重要な車でした。当然サニーに思い入れのある年輩ユーザーを納得させるモノに仕上げなければいけません。外観はティアナに似たフロントマスクにウェストライン上下で明るいキャビンと安定感の有る下半身の手慣れた建築風デザインです。ただ当時ようやく背の高い車も増えてきましたが、ミニバンやハイトではないにも関わらずティーダの全高は1535ミリとなかなかの高さ。立体駐車場の上限が1550ミリというところが多かったので限界に近いサイズです(ちなみに同時期のカローラは1470ミリ)。これを5ナンバーの車幅で成立させるので中々な腰高感、正直デザイン的にはバランスの悪い車でした。
ただその恩恵は前記したように明るいキャビン。現在の車のように背高をウェストラインを高く取って誤魔化す閉塞的な室内空間にはせず、視界の広い理想主義的パッケージを取り、ファミリーカーらしい誰でも運転しやすい車に仕上がっていました。そんなあまり格好良くないティーダでしたが、ティアナと同じ内装デザイナーが手掛けており、ティアナと同サイズのシートや質感の高い革内装、スライドシート採用で広大な後席空間を生み出せたりと、乗るとなかなかに満足度が高くサニーユーサーの評判も悪くなかったようです。
2005年。セレナは5ナンバー箱形ミニバンなので特に記す事も無く。2代目エルグランドのニュアンスが少しでも入っていれば面白かったんですけど。初代ノートはこの時点でさほど重要な車種ではなかった記憶。車種統合の結果日産の下半分を支えるような車になるとは思いもよりませんでした。ヴィッツに対するistやファンカーゴ/ラクティス的ポジションだったと。
3代目ウィングロードは醜い車(笑)。常識的デザイン感覚では生み出されないであろう緊張感有るバランスでなりたってます。ドア周りのラインとルーフのラインが歪んでる不思議さ。フロントマスクもマーチから連なる縦目系ライトでありながら流行りを追いかけたのかツリ目風でもある。しいて言えばどっちりした下半身と絞られて痩せて見える荷室が階層的でこれも建築風デザインではあるかなと。よくこんな違和感有る車を出したと思います。ADバン営業車用途でさばけるからゴーだったのか?
05年の傑作は2代目ブルーバードシルフィ。この辺りから側突対策かウェストラインが高くボディが厚く見えるデザインが増えてきて、シルフィもその波に飲み込まれています。ただそれを一本のキャラクターラインがかなり緩和させています。フロントフェンダーアーチ後部から始まりリアドアハンドルを通過する辺りまでは尻上がりのウェッジラインなのですが、それがテールランプで収束する頃にはなだらかに下降しています。リア7:3の写真だと本当に奇麗にテールランプに繋がっていてほれぼれしますよ(笑)。
日産では尻下がりのデザインは失敗のデザインと言われ、410/U13ブルバードやレパードJフェリーと歴代玉砕を繰り返しています。それでも世界的には尻下がりのデザインは車をエレガントに見せる効果があり多くの車に採用されています。思うにこのシルフィは、410ブルを意識しつつモダンリビングを昇華させ、この世代の日産車の集大成のような車になったと(勝手に)考えています。410ブルが見え隠れするのは、ちょっと腰高な感じと上記なだらかに下がるキャラクターライン。テールランプとナンバーの構成。さらにナンバーの上にメッキのフードがつくあたり。
410ブルって今の目で見るとかなりエレガントでさすがピニンファリーナと思わされます。そのエッセンスをなぜシルフィで採用したのか。それは内装を見ると理解出来ます。相変わらずコイズミですがつや消し木目パネルの心意気良し。パンっと張ったシートに手触りの良い生地。足下空間広大なリアシートはラウンジのようです。そう実にエレガントなのです。まー乗ってみるといつものSSSな感じのプルーバードで全然エレガントじゃないんですが(笑)。
前記したように建築的かつモダンリビングな日産車は05年あたりまで。台数を売るには車種が必要という健全な考え方で拡大戦略を取っていたのもこのあたりまで(泣)。この後リーマンショックが襲いおののいた経営陣に「コストを下げて1台あたりの利益を増やすには車種を共有統合すれば良い!天才!!」というバカが出現し、せっかく生み出したマーチ、キューブ、ノート、ティーダ、ラティオ、シルフィは現在はノート1台に統合されてしまいました。とほほ。次一瞬復活するのはいつなんでしょうねぇ。
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一瞬復活したと思ったあの頃の日産を振り返る。-2-
http://sarorac.exblog.jp/33763992/
2023-12-31T23:59:00+09:00
2024-01-01T00:44:26+09:00
2023-12-31T21:46:31+09:00
sarorac
日産
何度か「一瞬復活したと思ったあの頃」がある日産ですが、今回は下記車種がリリースされた時期の話しをしています。共に中村史郎氏が途中から関わったと思われる建築的デザインが特徴です。今回はそれぞれの車種についてつらつらと。
2002年 3代目マーチ、2代目エルグランド、5代目フェアレディZ、2代目キューブ、初代ムラーノ
2003年 11代目スカイラインクーペ、初代ティアナ、2代目プレサージュ
2004年 初代ティーダ、初代ラフェスタ、3代目セレナ
2005年 初代ノート、3代目ウィングロード、2代目ブルーバードシルフィ
どれもすでにざっくり20年前の車になってしまいましたので中古車で買うには非常にお手頃な価格です。スポーツモデルでも100万円あれば、その他は50万円もあれば入手可能で筆者もカーセンサー散歩を繰り広げる日々です(笑)。
なんと言っても2002年登場の3代目マーチと2代目キューブは大傑作なデザインです。特にマーチは未だに町中で見かけますし、見かけるとつくづく良いデザインだなと見惚れてしまいます。マーチの素晴らしいのは全く似たような車が存在しないオリジナリティあふれるデザイン。全体的にはコロンとした丸い形をしつつ、ショルダーラインから下がどっしりして安定感があり、その上に構築されたキャビンは明るくてルーミー。この階層化が「建築的」を見事に表現しています。さらにヘッドライトは運転時に車幅の確認に有用な位置に配置され、単純な丸目とは違いますし当然つり目でもない一目で(ヘッドライトだけに)マーチとわかる独特な表情を生み出しています。
2代目キューブは現代でも多くのハイト自動車に採用される「四角丸い」デザインの傑作。初代が本当にデザイン性の無いただの箱だったのに対して、必然性の有るCピラーの左右非対称化や、くっきりしたフェンダーフレアと凝った意匠のホイールカバーが足下を引き締め、マーチとは違った形で巧みに「建築的」デザインが表現されています。箱形で広い室内にはでーんとソファ風のベンチシートが配置され、安い価格帯の車でありながらセンスで安っぽく見せないコンパクトカーのお手本です。
マーチもキューブも(ラフェスタも)インテリアショップのコンランとコラボした仕様があり、茶色の外装に赤いシートやアイボリーホワイト外装に茶革シートでとってもオシャレ。マーチに至ってはシートが赤も白も昔のヨーロッパのソファのような花柄な可愛さ。この心意気は中村史郎案件で残念にとろけた3代目キューブでも、多くのインテリアバリエーションで引き継がれました。
他の02年発売モデルでは、いつものように先行者利益を後出しジャンケンアルファードで失った2代目エルグランドも、ことデザイン面では歴代屈指の完成度。こちらも階層化したヘッドライトとグリル、マーチと同じようにショルダーライン上下でキャビンと安定した下半身を表現し建築的。このデザインが優れていたのは、トヨタがアルファードの兄弟車ヴェルファイアのフロントマスクに採用したのでも証明されています。
フェアレディZはオリジナル性という意味ではアウディTTのフォロワーだと思うのでもひとつですが(もっともアウディTTがバウハウスの影響を感じられる建築的デザインなので融合性が高いのは当然ですけど)、やはりゴーン肝いりの日産復活のイメージリーダーとして重要。個人的には横から見た時にリアハッチが逆反りで痩せて見えるのが残念ですかね。国内向けに2.5Lターボとかがあればもっと売れたと思います。
続いて2003年発表モデルでは上記フェアレディZの兄弟車でもあるスカイラインクーペ。いわゆるV35スカイラインのクーペなんですが、セダンの方は理想的なFRGTカーとして開発されたXVLをゴーンがスカイラインに転用させたこと、また時期的な問題で中村史郎フリカケが間に合っていない印象で正直「建築的」風味に乏しいです。それがセダンから1年半遅れて投入されたクーペでは、パキっとしたショルダーライン、スパッと切り落とされたテール、セダンでは未消化だったマーチと同じ考え方の縦型ヘッドライトが絶妙に組み合わされ、かつZのようなアウディTT風味も感じられず日産のクーペとして完成されています。
同年スマッシュヒットを飛ばした、セフィーロとローレルの統合車ティアナもアウディA6辺りの影響が垣間見える車です。ただティアナがヒットした理由はキューブで採用した室内空間のリビング化「モダンリビング」思想が受け入れられたからだと。残念ながら当時の日産のコスト&技術では、でーんと鎮座した寿司屋のカウンター風木目パネルはコイズミ学習机レベルでしたが、それまでのトヨタテラテラ木目パネルこってりと違う感覚は、当時まだ財布に余裕があった中流日本人の感性にピタッとはまったのだと思います。内装色も紺色やワイマラナーという光沢感のある布地の採用が贅沢感をくすぐります。外装ミスティグリーン内装ワイマラナーの中古車あれば今でも欲しいです。
どんどん長くなったので年越して続きます(笑)。
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一瞬復活したと思ったあの頃の日産を振り返る。
http://sarorac.exblog.jp/33761614/
2023-12-30T23:59:00+09:00
2023-12-31T03:25:21+09:00
2023-12-31T02:36:38+09:00
sarorac
日産
一瞬復活したと思ったあの頃の日産とはズバリ、カルロス・ゴーンが日産に乗り込んで来ていすゞからデザイン部長として中村史郎氏をヘッドハントし、それらが形になり始めた時期です。年代的には2002年〜2005年でしょうか(ちなみにその前の一瞬復活したと思った時期は901運動が実を結んだころですね)。
筆者の認識として、ルノーから日産に乗り込んで来た当初のゴーンはコストカッターで不要なモノをバリバリ切り捨てるかたわら、カーガイの一面を見せてフェアレディZの存続を決定したり、社員の団結力を高めるため硬式野球部の活動を継続させたりと(のちにリーマンショックの影響で休部)ただの冷徹な経営者ではないというイメージでした。
その後慢心したのか何かが変わってしまい私腹を肥やすような経営者になり、日産自体もそのゴーンの逆鱗に触れないようにとイエスマン社員が周りを囲み、失敗を極端に嫌う縮こまった経営(車種)戦略となってしまいました。一つのエピソードとしてゴーン末期の日産では「自ら立てた戦略目標を達成出来ないと叱責される」社風だったそうです。結果新規車種を投入するより既存車種の統合を進めコストダウンの成果を競ったり、あらかじめ低く見積もった数値を達成して評価されたりと、新たな挑戦をして大ヒットを狙わないメーカーとなってしまいました。
話しを戻します。では一瞬復活したと思ったあの頃の日産の車をあげて行きます。
2002年 3代目マーチ、2代目エルグランド、5代目フェアレディZ、2代目キューブ、初代ムラーノ。
2003年 11代目スカイラインクーペ、初代ティアナ、2代目プレサージュ。
2004年 初代ラフェスタ、初代ティーダ。
2005年 初代ノート、3代目セレナ、3代目ウィングロード、2代目ブルーバードシルフィ。
この2005年までのモデルは、すべてある一定の建築的デザインでまとめられていました。当然ヒットした車外れた車と色々ありますが、現在のようにフロントマスクの統一された金太郎飴デザインではなく、それぞれ個性的でありながら一目で日産車とわかる独自性のあるデザインラインで大変優れていたと思います。
中村史郎氏は日産に1999年から着任し2000年からデザイン本部長となります。時期的に考えて2002年以降登場のモデルには氏の意向が取り入れられていると思いますが、その多くのモデルは既に開発途上にあったもので一から氏が立ち上げたデザインではないはずです。開発が進んでいた各モデルを氏が統一感のある方向に導いた。筆者としてはこれが絶妙なさじ加減となり名デザイン続出の要因となったと考えます。
ただ端境期が訪れるのは2006年発表の車から。デューク(キャシュカイ)までは建築的デザインラインの延長だったものが、12代目スカイラインからはぬめっとした完全中村史郎監修の新しい日産のデザイン言語になったと思います。これ以降2代目エクストレイルなどの例外(遅れて3代目からはとろけます)もありますが、基本的には前後フェンダーの抑揚の強いある種コークボトル風のデザインとなり、車種&コスト削減のタイミングとも重なり、日産の車&デザインに勢いが無くなっていくイメージです。
ジュークというラッキーパンチこそあったモノの正直このデザインラインは評価されず、この時期のヒット車ノートやセレナも、ノートはeパワーの恩恵、セレナは5ナンバーサイズ箱形の為ぬめぬめせずでデザインの影響は皆無です。その後2017年に中村史郎氏は退任しアルフォンソ・アルバイサ氏が就任。現在の日産は凝縮感の中にシャープなラインを通す新たなデザイン言語を採用し、アリアをイメージリーダーに再度復活を目指していますが、一度縮小化したラインナップを拡大するのには苦労しそうです。
つらつら綴っていたら長くなったので続きます(笑)。
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スバル6代目インプレッサ
http://sarorac.exblog.jp/33644619/
2023-11-30T23:59:00+09:00
2023-12-02T00:42:42+09:00
2023-12-02T00:34:26+09:00
sarorac
スバル
先代まではハッチバックのスポーツとセダンのG4とあり、さらにインプレッサの派生車種としてXVがあったのですが、それらは今回整理されXV改めクロストレックの車高下げのハッチバックがインプレッサとなりました。そう、遂にセダンが無くなりました(泣)。3代目でも当初はハッチバックだけで後からセダンが追加されましたが、あれは日本以外では作っていたからで、今回は北米でも中国でも無くなったみたいなのでセダン復活は無さそうです。
となると最初に記したように、本当に車高の上げ下げと化粧パネルのみの差なのかというと、インプレッサには営業車対策として(未だにそんな需要があるのかわかりませんし、貧乏日本ではその役割はジャスティが受け持ちそうですが)、ハイブリッドではない素のFFガソリン2.0Lエンジンが存在します。試乗車はズバリどんぴしゃこのグレードで、意外と印象が良かったのも今回取り上げようと思った要因です。
クロストレックの記事で、乗り心地は良いんだけどカローラみたいな「味のしない車」と評しましたが、インプレッサからはスバルらしい味が残っているように感じました。クロストレックはどんな路面状況でもすーっと走れる車で、それはそれで出来が良いんですけど、スバルを知ってる乗り継いだユーザーにとってスバルっぽくないんじゃないかと。
対してこの素のインプレッサは、良路はしなやか、悪路になると多少ボコボコするけどそれがハンドルを通じて伝わって来る感じが実にスバルっぽい(笑)。言うなれば現行レガシィアウトバックに近い乗り味です。また長い間運転していると意外と気になって来るこまかな調律。アクセル開度に対する車の動き、ハンドルのキャスターアクションなどが素直で、運転していてまったく疲れずイライラしません。そういう仕上げの良さも含めてスバルらしい車だなと思わされます。
本来は1.5Lクラスだった車ですし、今回サイズの大きなセダンも無いので2.0Lエンジンは実用上充分な存在。カタログ燃費が多少良くなるマイルドハイブリッド不要です(笑)。ただ個体差なのか、マイルドハイブリッドでは構造上気にならないアイドリングストップからの再始動がなんかギクシャクしていてその点唯一印象が悪かったです。
車としての仕上がりは前記したようにスバルらしい佳作。ただスバルを知っている人ならともかく、そうでない人に積極的に選びたくなるようなプラス要素が無いのも事実です。外観デザインはガンダムガンダムで絶望的にスバル。内装も相変わらず黒グレー内装に銀色塗りましたパネルで絶望的にスバル。質感も高いレベルではなくソフトパッドとハードプラの区別がつきにくいです(笑)。色は軽自動車並みに9色も選べて非常に頑張ってるのですが、なんか地味でワクワクする色が少ない。
クロストレックと同じ話しの繰り返しになりますが、スマホナビを繋げようとすると+20万円。この素の営業車グレードは、ナビ無しだとインパネ一番上部の一等地に嫌がらせの目くら(言葉狩り再び)パネルで収納にもスマホ置きにも出来ません。営業車であるならばそこには書類やメモ帳放り込めないと。
今回セールスさんのおかげでちょっと長めに試乗させてもらったので、良さがじわじわ伝わってきましたが、10分程度の試乗でインプレッサが比較他車に圧倒的と感じる部分はありません。そう言うプラスアルファはクロストレックが担当してるのかもしれませんが、このままではいずれ統合されインプレッサは消滅しそうです。北米がこのデザインで売れてるのでいじりづらいかもしれませんが、もう少しオッと思わせるデザイン。せめてオッと思わせるカラーや内装で頑張って欲しい車です。
一言で表すとすれば「営業車で割り当てられたら物凄く馴染んじゃって自分用に買いたくなる車」でしょうか。(2023年3月発表)
https://carview.yahoo.co.jp/ncar/catalog/subaru/impreza_hatchback/FMC006-MC001/
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ホンダZR-V
http://sarorac.exblog.jp/33552918/
2023-10-26T23:59:00+09:00
2023-10-27T05:28:20+09:00
2023-10-27T05:28:20+09:00
sarorac
ホンダ
まー素直に格好良いか格好悪いかで言えば恰好悪いデザインだとは思います(笑)。でも実車を見た印象としてフロントマスクはそれほど嫌いじゃないです。ZR-Vは北米ではHR-Vとして売られていて、そちらとはグリルを中心に微妙にデザインが違います。HR-Vは複雑なハニカム状のグリルでZR-Vはバリカンのようなグリルをしています。この日本仕様のグリルがなんとも深海魚的な顔に見え、おとぼけフェイスで良い味出してると思います。ブス可愛いい。あと、この顔ダースベイダーですよね。黒色でワックス掛けてテラテラにしたらそのものかと。むしろ北米もこの顔の方が良かったんじゃないの?って思います。
ただ顔と横後ろが全く調和してません。これだけインパクトのある顔なのに他は無国籍風でなんとも普通。ベース車であるシビックはテールランプも含めて個性が有るのにどうしてその路線にしなかったのかと。お尻の下側がだらっと膨れてるのもバランス悪くて嫌いです。たとえパクリと言われようとヴェゼルの奇跡的なまとまりを経て、次のSUVがどうしてこうなるのでしょう??
試乗したのはあえて探した1.5Lガソリンターボ。ただセールスさんの話しでは販売の9割以上がハイブリッドで注文停止中。実際最初に訪れたディーラーではネット上ではあるはずの試乗車が無いとの事。近隣店にありませんか?と探してもらった店舗でも駐車場に放置状態で、連絡受けてから洗車して準備されたそうです。
ではなぜ1.5Lガソリンを希望したのかというと、ヴェゼル試乗時の印象がハイブリッドよりベースグレードのガソリンの方が良かったからです。ヴェゼルでは露骨にグレードダウンされていたガソリンですが、クラスが上がったZR-Vならベースグレードでも安っぽさは感じないのでは?という思惑です。
この予想は当たっていなくもなくて、内装はリアドアまでキッチリソフトパッドでお金が掛かっています。シビックと共通イメージのエアコン吹き出し口周りのハニカム処理も、チープな塗装仕上げパネルや見飽きたカーボン調、ピアノブラックバネルに比べて特徴的です。さらにセンターコンソールのウネウネしたのも面白いデザインで、ATシフトレバーが無いのと合わせてこちらもオリジナリティを感じます。ただハイブリッドの上級グレード以外は相変わらずの黒一色なのが本当に残念。軽やコンパクトカーでは材質によって色替えしたりするのに、どうして値段が高くなるほどダメになるのか?不思議で仕方有りません。
それでは運転した感想です。まず肝心要の乗り心地は・・・SUVのファミリーカー化で乗り心地の良いSUVが増えましたが、ZR-Vも充分その期待に応えています。感動するほどふわふわではないですけど雑味が無くて実に素直。TNGA採用車のような低重心人工的な乗り心地の良さではなく旧来の車らしい乗り心地の良さで好感が持てます。ノーマルシビックの足回りがこれなら最高なんですけどね。
1.5Lターボエンジンもアクセルの踏み加減で思い通りに操れ心地良いです。こちらも運転していてまったく不快じゃなくスッキリしています。もうこれで充分じゃないの?こうなるとハイブリッド発電用のエンジンが2.0Lってのはムダなのでは(笑)?税金も高くなるし重くもなる。高速域でエンジン直結になってその時は燃費に貢献するんでしょうけど。
そんなわけで「こんなデザインじゃ絶対に売れない」と言っていた自動車評論家さん達が「でも仕上がりは良い」ってフォローしていたように、ZR-Vまっとうな良い車でした。80年代からタイプR全盛期のホンダはとにかく乗り心地が悪いイメージでしたが、今のホンダはどれも乗り心地&仕上がりが良いです(シビックはちょっと・・・)。
でもどれ買ってもみんな出来が良いのなら、結局ヴェゼルのガソリンで良いのでは?の結論に(笑)。ZR-Vのデザインを相当気に入っているのならともかく、多分数年後の残価率もヴェゼルの方が良いでしょうし。比べて乗れば世代も新しくクラスの上なZR-Vの方が良いでしょうけど、ヴェゼルも良い車なので、ヴェゼルのガソリンでちょっと内装の良い特別仕様車があれば、それがベストな気がします(無いんですけどね)。(2023年4月発表)
https://carview.yahoo.co.jp/ncar/catalog/honda/zr-v/FMC001-MC001/
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トヨタ5代目プリウス
http://sarorac.exblog.jp/33445043/
2023-09-21T23:59:00+09:00
2023-10-11T23:06:20+09:00
2023-09-22T03:01:39+09:00
sarorac
トヨタ
※そう言えば先代についてはどういう評価をしたんだっけと思って確認したら、けっこう的を射ていて笑いました。よろしかったらこちらもどうぞ→「トヨタ4代目プリウス」
トヨタはプリウスを2代目以降燃費スペシャルな車として育ててきました。それはハイブリッドカーという存在を一般大衆に認知させる上で一番手っ取り早い方法でした。対して初代プリウスは同時期のプログレとも通じる、採算度外視の理想の塊のような車でした。筆者は中古の格安プログレを購入し「コストをあまり考えずに本気になったトヨタはすごい」と思ったのですが、同時期に初代プリウスも購入を考え、それなりの台数を試乗しました。そしてプリウスにも同じような感想を抱き、そのフランス車的な乗り心地を含めて本当に欲しいと思っていました。
そう。初代プリウスって確かにあの時代の車としては抜群に燃費が良く、そう言う意味では2代目以降の燃費スペシャルと同じと思われそうですが、実際はちょっと違うと考えます。初代プリウスはハイブリッドシステムを実現する為に理想を追い、その理想主義はハイブリッドシステムだけではなく、ある種理想的なファミリーカーを作り出そうとしていたのではないでしょうか?理想的な小さな高級車を追い求め旧来の技術を磨き高めたプログレと、理想的なファミリーカーを作ろうとして最新技術を投入したプリウス。実は2台は対となるセダンだったのでは?と思います(そして理想的な小型車を作ろうとしたNCVカローラへ繋がるのはまた別の話し)。
ただ初代は電気自動車の嚆矢日産リーフと同じく、新しいモノへの恐れもあり売れませんでした。それでもトヨタはファーストペンギンとなった人にバッテリー永久保証と言う手厚い対応をした為、日産のリーフを巡る不手際により電気自動車アレルギーを生み出すようなこともなく、普通の自動車としてハイブリッドカーを認知させる事に成功します。
またハイブリッドカーが認められたのは、日本がどんどん貧乏になるタイミングと重なったからだと言えるでしょう。その購買意欲の元は少しでも燃料費を安く済ませたいという思いでした。結果プリウスはどんどん燃費スペシャルとして、初代の理想のファミリーカーとは別の存在となります。燃費の為には乗り心地や質感などは二の次とし、プリウスに対しての自動車評論家の苦言は本質的な車の仕上がりの部分ばかりでした。
ハイブリッドシステムがプリウス以外の車にも載せられるようになると、大量生産によりコストも下がり同時に技術も進み、プリウスは「車としての仕上がり」を取り戻そうとします。先代4代目プリウスはデザイン的に不評を買いましたが、TNGAプラットフォームを採用し車としての出来映えは大変評価されました。
そこで登場した5代目モデルです。そのスーパーカーのように寝たフロントスクリーンのキレたデザインが評判となりましたが、変わったのはスタイルだけではありません。5代目モデルはプリウスの存在意義に関わる「燃費スペシャル」からの脱却がテーマだと思います。プリウスが5世代目を迎えるまでの間に、今やトヨタだけでなく各社が普通にハイブリッドモデルを揃えています(未だにマイルドハイブリッド(笑)で誤魔化してるメーカーもありますが)。
ハイブリッドがプリウスだけだった時代はとっくに終わっているのです。日本人はどんどん貧乏になっているので、同じハイブリッドならカローラやヤリス、アクアなどの小さな車の方がより安くすむ。4代目が売れなかった原因は不細工だからだけではなく、トヨタ得意の身内によるカニバリズムの影響も大きかったのではないでしょうか?
より安いハイブリットが他にあるので、プリウスの価値はハイブリッドである事では無くなってしまいました。そこでトヨタはプリウスを生まれ変わらせることにしたのでしょう。クラウンだけでなくプリウスも新生プリウスとしたのです。そんなプリウスの新しい存在価値は、ハイブリッドである事だけと同じく終わっているセダン(5ドアハッチバックですが)の再構築。
実用車はコンパクトカーかミニバン。そして生活感を排除したい人はSUV。もはやセダンという形態に一般の日本人は何の期待もしていません。そんな中限られた車好きへのセダンが生き残る道としての提案は「セダンのスペシュリティカー化」以前はクーペが受け持っていた世界を、4枚ドアというギリギリの実用性も加味してセダンが引き受ける。世界的にもセダンはフォーマルや実用性としての存在より、ファストバックスタイルの流行や平べったいデザインでスペシャリティーカーを目指しているのは明らかです。そうトヨタはもう一度、格好良いスタイルだけでセダンを売ってみせようとしたわけです。なんと男らしい(ジェンダー)。サムライです(笑)。
この発想の転換で無理に燃費だけを追っかけなくなったプリウス。別の部分にコストを掛けてよくなったら途端に、抜群に、車の仕上がりが良くなりました。特に筆者が毎度毎度TNGA採用車に対して言い続けて来た「良い車なんだけど味が無い」遂にこの問題が改善されました。今度のプリウス味が有ります。
試乗して一番感じたのはハンドルを切った時に感じるしっとりとしたしつけ。同じく足の動きもしっとりとしていて魅力的、乾燥してパサパサだったTNGA車が19インチの大きなタイヤを充分履きこなしフランス車的な乗り心地ですらある。そう言う意味では初代プリウスに戻ったとも言えます。厳密に言えばブレーキやアクセル踏み込み時の感覚にハイブリッドっぽさは残るけど、TNGAカローラやTNGAヤリスに比べれば遥かに魅力的な仕上げです。
今までのTNGA車がオペルアストラやフォードフォーカスだったとしたら、今度のプリウスはVWゴルフ。フランス車風と言っておきながら例えがドイツ車なのはアレですが、車好きに感覚的に理解してもらうには妥当な例えかと思います(笑)。直前に現行カローラか先代プリウスに乗ってから現行プリウス試乗すると、言っている事が理解してもらえるんじゃないかと。
まーここまで車の仕上げとしてはベタ褒めでした。でも全部が全部完璧なワケでもありません。実はデザインは早くも見飽きたました(笑)。街で見れば確かにハッとするのですが、ちょっとやり過ぎで普遍的な美しさには欠けますかね。むしろクラウンクロスオーバーの方がセダンの亜流として独特の存在感があると思います。フロントは両車同じようなハンマーヘッド顔ですが、クラウンのリアは未だにおっ!と思わす違和感があります。対してプリウスは4代目との共通性を持たせたのかテールランプから縦に垂れたラインが蛇足かと。フロントから極力ムダな線無く面の抑揚で魅せているのにどうして垂れたのか?サイド面唯一のキャラクターラインがバンパーの分割線に繋がってテールランプに収束しているのに、あの垂れが本当気持ち悪いです。
外板色はマスタード以外はつまらない普通の赤黒紺白灰でがっかり。スペシャリティーカーなんですからもっと新色の提案が必要ではないでしょうか?また相変わらず安っぽいトヨタ内装もそろそろどうにかして欲しいです。しっとりした乗り味にお金が掛かっているのなら我慢しますが、世界と戦うトヨタがいつまでもこの質感なのは悲しいです。内装色も基本黒グレーのみ。唯一色気出したつもりなのか、シートショルダー部分に赤指し色使ったけど他は黒グレーのすっごくダサイ仕様もあります。
こんな形なので実用性についてガタガタ言っても仕方ないのですが、視界はやっぱり悪いです。特にプジョー式のハンドル上からメーターを見る方式との相性が最悪。タダでさえ狭いフロントスクリーンと成立させるために、メーターパネルがめっちゃ小さい(笑)。これならメーターバネルは無くし全てウィンドーに表示とかが外観デザインの未来感に合って良かったのでは?
そしてサイズこそ大きくなったけど相変わらずのプリウスシフトも課題。どうしてこのどこに入ってるかわからないシフトレバーを頑固に使い続けているのか謎謎。これならむしろボタン式の方が良いぐらいです。身長180Cm弱のサイズなら前席は乗ってしまえばさほど問題なし。後席はバブル期のハードトップブームを思い出す狭さ。乗り込みづらいし頭もしっかり天井に触れます。まースペシャリティクーペだから仕方なし。
トヨタは相変わらず半導体ごにょごにょ言ってこのプリウスも納期にめちゃくちゃ時間が掛かっています。タイミングによっては注文を受け付けておらず買う事も出来ない。筆者は早くも飽きちゃってますが、こういう流行りモノのデザインはパッと出してドーンと大量に売らないと旬を逃します。せっかく格好良くて出来も良い新生プリウス。せっせこ作って欲しいなと思います。(2023年1月発表)
https://carview.yahoo.co.jp/ncar/catalog/toyota/prius/FMC005-MC001/
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スバルクロストレック
http://sarorac.exblog.jp/33333684/
2023-08-16T23:59:00+09:00
2023-08-17T01:30:26+09:00
2023-08-17T01:21:43+09:00
sarorac
スバル
クロストレック=XVは元々インプレッサにSUV風味を振りかけたクロスオーバーSUVです。今回XVからクロストレックに変更されましたが、その前は出自の通りインプレッサXVという名で、さらにその大元は初代インプレッサに設定されたグラベルEXという車でした。一つの車を育てるのに何度も名前を変える。しかも売れない車のイメージチェンジをするわけでなく売れてる車の名前を変えるのはワケがわかりません。
今回の商品ラインナップですが、色々なモノに縛られた結果なんだか残念なグレード構成になっています。燃費規制をクリヤーする為に1.6L素の水平対向エンジンが消滅して2.0Lマイルドハイブリッドシステムのみになりました。1.6Lエンジン消滅で価格帯高騰を防ぐ為に、今まで全車4WDが特徴だったのにFF仕様の投入です。「こんな価格で格好良い4WDSUVが手に入る」なXVはもうありません。ただ元々自動車税で同じクラスになる1.6Lと2.0Lエンジンの棲み分けは意味が無いと思っていたので(1.5Lエンジンを残すべきだったと)、2.0に一本化は仕方ないですかね。
そもそもクロストレックとしては初代ですがXVから考えると4代目。前記したようにインプレッサの車高をちょっと上げて追加パネルを加えただけの派生車を、メイン車種にまで育てあげたスバルは素晴らしいです。ただ初代は別としても同じような造形で3代続けて来た弊害がデザインに現れていると思います。正直どんどん格好悪くなってると思いません?
一番格好悪いのは車高も上げてないスターレットREMIXみたいな初代ですが、XVのデザインは凝縮感もカラーも全て2代目で完成されていて、あとはモデルチェンジの度にいらぬ手が加えられて来た印象です。なんかシルエットがどんどんトヨタヴォルツに近づいて来てる気もしますし(笑)、インプレッサと外板パネルが共通というしばりがあるので、流行りのカクカクしたデザインに出来ないのも厳しいところです。
さらに今回は外板色もワクワクしないんですよね。歴代には段ボール色やオレンジ、金色、水色などXVを積極的に選びたくなる色が必ずあったのに、今回は9色もありながら広告代理店のお仕着せ選定のどこかで見た色ばかり。本当各社アホみたいに色合いが揃っちゃうので、インターカラーとか無視して自社のデザイナーのセンス信じてあげられないんでしょうか?おまけに全く性格付けが違うはずのインプレッサと1色を除いて他8色は全く同じ色。デザイナーが仕事してないのかさせないのか、色と車ってもっと大事なモノだと思うんですけどね。
内装色は相変わらずの黒グレー一色です。百歩譲ってインプレッサが黒グレーだけなのは仕方ないとします。だけど遊び車だったり豊かな生活の手助けをするようなクロストレックがどうして黒グレーしか選べないんでしょう?これもデザイナーが仕事してないのかさせないのか案件ですよね。
苦言が続きますが(笑)、相変わらずiPhone繋ごうと思ったらベースグレードに20万円乗っけなきゃ行けないスバル詐欺継続中です。モニターオプションレスだとインパネ最上部がめくらバネル(言葉狩り)になる嫌がらせも継続中。インパネは一番上にインフォメーションモニターを配置しその下は収納にすれば良いのに、悪目立ちする無地パネルに収納も配置しないスバルは本当意地が悪いと思います(笑)。こちらもこんな仕様でデザイナーが仕事してないのかさせないのか案件3。
では試乗してみます。最初に残念なグレード構成と言いましたが、価格帯高騰を防ぐ為に導入したFFベースグレード17インチタイヤ仕様の出来が一番良いんです(笑)。266万円が一番良いんじゃそりゃ買われないように、めくらパネルの嫌がらせしますよね(試乗車は当然のようにモニターもナビもオプションてんこ盛りでした)。
ただ静かだし突き上げも少なくて抜群に乗り心地良いんですけど、こちらも世代を経るごとに味が無くなってきてるような気がします。なんとなくカローラ辺りに似てる乗り心地なんですよね。それもふわふわ最高のカローラクロスじゃなくて素のカローラセダンの方です。良い乗り心地なのに味が無いって文句言うのも贅沢な話しなんですけど、レガシィアウトバックみたいな味付けに出来ればスバルらしさという意味で統一感出ると思うんですけど。
総じてなんか難しい車だなぁ(笑)。XVってもっとワクワクして楽しい車だったはずなのに。この新型クロストレックを350万ぐらい払って納車まで3ヶ月待つより、100万ぐらいの2代目XVを買って、すぐ残ったお金でXVと色んな所に行き色んな体験をした方が楽しそうですよね。350万円って(266万円は買うなグレードなので)気軽ではない金額なので、そう言う意味ではクロストレックはもはやXVでは無いんだなと思います。名前をコロコロ変えるなと思いましたが、2.3代目にあったXVの気軽な楽しさはもう無いのでクロストレックで正解でした。(2022年12月発表)
https://carview.yahoo.co.jp/ncar/catalog/subaru/crosstrek/FMC001-MC001/
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マツダ3セダン15S100周年特別記念車-2-
http://sarorac.exblog.jp/33213753/
2023-07-15T00:00:00+09:00
2023-07-20T23:50:28+09:00
2023-07-01T00:49:59+09:00
sarorac
マツダ
購入後一番困惑させられたのは次の点。これは「仕様」で不具合ではなく現在では対策もされたのですが、バッテリーに対する過剰な警告が大変煩わしかったです。マツダ3以降の第7世代のモデルはエンジン始動後にすぐに動き出せるように、ドアが解錠された瞬間からセンサーやコンピューター類が立ち上がる仕様になっています。この為洗車時などエンジンを始動せずにドアを数回開け閉めするだけで、警告音と共に「電力消費が一定量を超過しましたエンジンを始動すると充電します」というメッセージが表示されます。
ただでさえアイドリングストップ車でムダにバッテリーを痛めているのに、この心臓に悪いメッセージ。さらに警告音がかなり長くしつこく鳴り続けるので、相当車の状況に影響をもたらす事態に違いないと思わされるのです。ところがディーラーで訪ねたところ「この表示が出たからといって具体的にバッテリーに悪影響を及ぼすような状態ではない」との説明。ならなぜ警告音はあれほどまでに過剰なのか?メーカーに問い合わせ&対策要望を出しました。
すると2年ほど経ってようやく多くの声が届いたのか、制御プログラムの書き換えアップデートで警告音もメッセージも全く出ないようになりました。ちょっと検索すると、他社アイドリングストップ車と同じくバッテリーの劣化が早い事にクレームが多く、それにソフト的対応をした結果過剰メッセージ導入となったらしいとか。いやハード面で対策してもらえませんかねそれ(笑)。
同様に制御面の話しでは、スマートキーなので車両から離れると自動でカギが掛かるようになってるのですが、これがまたバカみたいに過敏で運転席から助手席側まで車の周りを半周歩いただけでカギが掛かってしまいます。当然助手席に辿り着いた時には再度解錠しなくてはいけません。これがどんなに車体スレスレを歩いても施錠されるので非常に煩わしく、結果この設定は解除し通常のキーレスエントリーとして利用しています。
他にもトランクが勝手に開いてしまう問題や、センサー類が過敏で何も無い状況でもブレーキの警告音&メッセージが多発。どうも外れ車をつかんだようです。また購入に至る大きな要因となった質感の高い内装ですが、確かに見た目の質感は抜群に高いです。ただなんというか立て付けが悪いのか、ミシミシやギシギシカタカタなどの低級音が気になります。特に運転席ハンドル周りの異音は目立ち、ディーラーでも対策を希望するユーザーが多いという話しです。
現在のマツダ車のセールスポイントでもある高品質感ですが、乗りこむにつれて感じるのは「タダで質感の高い内装が手に入るわけでは無い」という事です。上記したように見映えの割に立て付けが悪いのは、高級車のようなしっかりとした取り付け方でなかったり、綿密な音対策をしていないからでしょう。またセンティア/ミレーニア消滅後高級車の作りのノウハウが途絶していたという事もあるでしょう。
またこれはアクセラからマツダ3に乗り換えたユーザーが多く記していますが、率直に言ってアクセラの方が足回りの出来は良かったという話し。実際リアの足回りはマルチリンクサスペンションからトーションビームに格下げされています。ただマツダが主張するようにトーションビームがダメというわけでは無いと思うんですよね。ゴルフやプジョーはトーションビームでも充分に乗り心地とハンドリングを両立させているわけですから。むしろトーションビームで万人が納得出来る乗り心地を実現するほどテストにお金や時間(時間も結局はお金ですが)が掛けられなかったと言う事だと思います。
結局見た目の質感の高さを実現するには、どこかで削らなければいけないコストが発生して、今のマツダの乗り心地の悪さはその辺を割り切っているのだと感じます。これが年月が経ちプジョーのようにトーションビームを使いこなし、立て付けの経験値も上がれば見た目に相応する車に仕上がるのだと思いますけど、そこまでマツダの体力が持つんでしょうか?トヨタはガン無視してくれていますが、ホンダや日産はマツダ並みに内装質感を上げた車種が出てきました。マツダのアドバンテージが無くなる前に、車の仕上がりを整えて欲しいです。
最後に。細かな不具合対策で何度もディーラー預りになった為(笑)、ディーラーで準備されている多くのマツダ3試乗車&代車を体験しました。その中で筆者が考えるベストマツダ3を上げるとしたら、それはファストバック1.5Lのベースグレードではないでしょうか?それも足回りガチガチの最初期型。
ベースグレードはメッキもピアノ調パネルも少なく見た目質感はかなり劣りますが、布張り手動シートはしっとりと体に馴染み大変快適です。これが布張り電動シートになると革よりは良いけど変な張りが感じられます。エンジンも1.5Lはよく回る印象です。筆者の1.5Lセダンはアクセルの壁が感じられますが、踏んだら踏んだだけ回ります。2.0Lは1.5Lより多少力はあるけど明確に力強さを感じるほどではありませんし特に気持ち良くもありません。
またセダンと比べてファストバックはさらによく曲がります。素人の運転レベルでもこんな速度でまだ頭が入っていくのかって驚かされます。さらに年次改良入る前の最初期型の方が、突き上げきついけど本来の目指していた方向性なのでしょう。キレっキレでペースを上げたくなり乗っていて本当に面白い車です。最初期型ですでに外観デザインに見合ったスペシャリティクーペとして完成されていたと思います。
最初に記したように現状のマツダは当分小型車にまで手が回りそうにありません。デミオ/マツダ2のように、マツダ3も当分今の形のまま作り続けられるでしょう。なのであんまりお金が無い若い車好きは、中古の初期型マツダ3ファストバックベースグレード買っちゃって下さい。いつまでも現行車ですので型落ち感も出ません(笑)。それでいて一番安いのに一番楽しいマツダ3。欧州車風だと言われ続けて来たマツダですが、ベースグレードが一番出来が良いなんてのも実に昔の欧州車っぽいですよね。お勧めです!!!
使用期間中の平均燃費(市街地9:高速1)12.4km/l
https://carview.yahoo.co.jp/ncar/catalog/mazda/mazda3_sedan/FMC001-MC002/
https://carview.yahoo.co.jp/ncar/catalog/mazda/mazda3_fastback/FMC001-MC002/
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マツダ3セダン15S100周年特別記念車
http://sarorac.exblog.jp/33213749/
2023-06-30T23:59:00+09:00
2023-12-02T00:55:35+09:00
2023-07-01T00:25:30+09:00
sarorac
マツダ
マツダ3といえばやっぱりファストバックの印象が強く、街中でもファストバックはよく見かけますし、通っているプールの駐車場には3台もマツダ3ファストバックが居るので、スポーツジムに通うような意識高い系の人はファストバック選ぶみたいです(笑)。ちなみに他は外車&アルファードの富裕層と実用ハイト軽にくっきり分かれてます。
ではなぜセダンなのかと言えば。新車で格好良いセダンを買えるラストチャンスだと思ったからです。実際現在カムリやアコードが消滅し、同じクラスのシビックとインプレッサもセダンが無くなりました。当時ファストバックにばかり話題が集中しましたが、マツダ3はセダンも抜群に格好良い車です。アテンザ/マツダ6はまだ購入出来ますがデザイン言語が一世代古いですしちょっと大きすぎます。カローラは日本専用のナローカローラで、全体的には寸詰まりなのにフロントオーバーハング長過ぎて恰好悪いです。
また、こんなに高品質なのに一般大衆でも手に入る車はもう出ないでしょう。これから国産車でも格差は広がるだろうと。そしてマツダ3はマツダ終わりの始まりではという危機感。案の定世界中で電動化の大波が襲いかかっているのに、マツダはラージプラットフォームCX-60で手一杯です。CX-60転けたらアウトなのに未だに熟成不足と言われ続けています。
こんな状況をマツダは過去にも経験しています。そうバブル期の5チャンネル制時代です。今見てもあの時のマツダの拡大戦略は凄かったです。しかし身の丈に合わない戦略は見事に玉砕し、初代デミオという孝行息子とフォードの援助が無ければマツダは潰れていたと思います。マツダ3からはそんな5チャンネル制の名車達の香りがプンプンしたんです。言ってみればファストバックはランティス、セダンはユーノス500。この時代の徒花のような車をばか車好きとして買わないわけにはいかないのです(笑)。
マツダ3を選んだ理由は上記大試乗会に記しましたが、補足としてこの当時マツダの100周年を祝う限定車が展開されていたというのも大きかったです。この限定車はすべての車種がホワイトパール外装に赤革内装という組み合わせ(第二弾としてマツダレッド外装追加)。それでいながらエンジン、駆動方式はラインナップにある全てが選べるという自由度の高い仕様。安全&自動運転関係は低グレードではオプションとなるモノも全部載せ。同じく低グレードでは省かれがちなメッキパーツなども全て上級グレードに合わせた仕様となっていて、マツダの高品質感を極めた限定車でした。
元々高齢の父母は街中中心の運転なのでエンジンは1.5Lで充分でしたが、1.5Lだと他社と比べると充分高品質でも、マツダ3同士で比べると細かな所でグレードの差別化がはかられています。よく試乗車はフル装備でテンション上がっても、実際購入する中間グレードでは見劣りするなんてことがありますが、限定車であればベースの1.5Lエンジンでもそれが無いのが魅力的でした。
とまぁ、長くなりましたがここまでがマツダ3セダンとの馴れ初めでした。ではそこから2年以上乗ったうえでのマツダ3の正直な評価はどんなものでしょう。
一言でいえば「速度域が高くないと良さが分かりづらい車」この印象が強いです。今のマツダ車の傾向として足回りは固めでスポーティな仕上げとなってると思います。しかも世代が新しくなるほどそれが過剰になってると思います。CX-60が叩かれるのもそこでしょう。マツダ3も街中で工事跡、マンホールの凸凹などがあるとドタドタしてはっきりと乗り心地が悪いです。外車のように年月乗ってもこなれて来る気配はありません。ところが速度域が高くなるとこれが、なかなかしなやかな乗り心地になりショックも上手くいなして行くようになります。
またエンジンが1.5Lと非力なので(現行モデルではセダンの1.5Lは廃止されました)、しっかりとアクセルを踏み込まないと加速して行きません。一旦速度が乗ると力不足はさほど感じないのですが、街中では発進加速での右足の力の入れ具合で結構疲れてしまいます。アクセルペダルがあまりにも重いので、ディーラーに問い合わせたところ改善部品があったので交換してもらいましたが、それでもまだアクセルを踏む際に壁のようなモノを感じます(個体差なのか代車の1.5Lファストバックでは感じません)。
※追記。3年に充たない期間でバッテリーが上がったため保証交換してもらったところ、アクセルの重さ&壁がある感じが解消されました。今のところエラーメッセージも出なくなりましたし、どうも外れバッテリーが電装系になんらかの悪さをしてた可能性があります。アクセルは電子制御スロットルですしね。
ただ速度域が上がると印象が良くなるのはハンドリングでもです。筆者が今まで乗ったFF車でこんなに頭がスイスイ望んだ方向に入って行く車は経験にありません。チョイ飛ばしの下りワインディングロードなんか物凄く楽しいです。マツダのキャッチフレーズ「Be a driver.」をただの1.5Lセダンでもキチンと表現しているわけですね。
そんなキビキビ走る状況で使いたくなるのがパドルシフト。下りでは積極的にエンブレ活かしたいですよね。今までパドルシフトのついてる車ってそんなに乗った事無かったんですけど、これハンドルに追従するシフトって使いづらくないですか?フルロックが1回転で済むならまだしも、回してるうちにシフトダウンかアップかわからなくなりますよね?
ハンドルポスト固定型なら常に右半分アップ左半分ダウンと認識出来ますけど、ハンドル追従型ならアップダウンは引くか押す方式が正解だと思うんですけど、マツダはなぜこれを採用してるのでしょう?これみなさんなんとも思わないんでしょうか?
そんなわけで長くなって来たので2週間後に続きます。ぺこーり。
https://carview.yahoo.co.jp/ncar/catalog/mazda/mazda3_sedan/FMC001-MC002/
https://carview.yahoo.co.jp/ncar/catalog/mazda/mazda3_fastback/FMC001-MC002/
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マツダCX-60
http://sarorac.exblog.jp/33112595/
2023-05-28T02:10:00+09:00
2023-05-28T02:13:40+09:00
2023-05-28T02:10:05+09:00
sarorac
マツダ
このプランが披露された時は、世の車好きからは賛同の声が大きくあがっていた気がしますが、経済動向の変化でCX-60の投入が遅れると発表された辺りから潮目が変わってきます。その後スクープ(リーク?)されたデザインが、CX-5→マツダ3のキレキレ路線とは違う、よく言えば鷹揚悪くいえばもっさりした形とわかり、さらにマツダ6の投入は当面無さそうとの噂、実際にデビューしたCX-60の仕上がりの不味さ、極めつけはチーフデザイナーの「ラージプラットフォームはSUV用なのでマツダ6に使うのは難しい」発言で大ガックリ。ラージプラットフォームには暗雲立ちこめてる雰囲気です(笑)。
そんななかの試乗記なんですが、試乗自体はいつもと違って発売初期に行っています。最初期型のe-SKYACTIV D。はっきりしたグレードは覚えてませんが、内装パッとしなかったので中間グレード以下だと思います。すでに多くの人がダメ出しをしているCX-60。マツダとしても対処対応を行った箇所もあるでしょうが、試乗当時の印象をそのまま綴ります。
まぁ率直に言って全体的に未成熟なまま出てしまったという感じです。昔からマツダ車は欧州的な車と言われてきましたが、90年代あたりまでは欧州車はこんな感じでしたよね。とりあえず出してから改良を進めて行き、モデル末期の仕様が完成形で一番出来が良いと。最近の欧州車ではそんな話しあまり聞かないのに、マツダは2020年代にそんな車を出してしまったのですから、そりゃ喧々囂々にもなります(笑)。
具体的にあげていくと、新開発のトルコンレス8速ATの制御がまだまだ。止まる寸前にガクンとショックが出ます。このATはスタート時にクラッチを使うのですがその他は通常ATと同じ。セレスピードなどの自動MTとは仕組みが違うようですが、そのギクシャク加減はちょっと似ています。
とはいえ、どちらかと言うとマツダの方は変速自体はスムーズにスパッとつながるイメージ。自動MTの「ギアが変わる瞬間にアクセル緩めた方が良い」なんて事をする必要はありません。とにかく停止時に2→1に落ちるショックなのか、クラッチを切るショックなのかが出てしまっている感じです。
さらにタチが悪いのが、アイドリングストップからの復帰時にぐいっと力が掛かってしまう謎の症状も見られます。この二つの悪癖のせいで、止まって発進するのに物凄くギクシャクしてしまいATの出来が悪いという印象になるのだと思います。思えばマツダは他チャンネル時代にも煮詰め不足のまま車を出してしまったことがあり、筆者が乗っていたユーノス500もATの変速ショックが酷い車でした。
動き出すと、個体差なのか足回りから共鳴音が響きますし、細かい段差でガタガタゆすられます。このあたりも多くの自動車評論家が指摘していてCX-60=乗り心地の悪い車とのイメージがついてしまっています。ラグジュアリーSUVでこの評判は厳しいです(笑)。ただ唯一、微小な路面の盛り上がりのまとめかたはゆらゆら気持ちいいので、マツダが本来目指したかったのはこの辺りなのかな?と。現在発売されているFRモデルは乗り心地かなり改善されてるとの事なので、ATと同じく熟成不足だったんでしょうねぇ。
デザインに関してはピンとこず。ラグジュアリーSUVなので、CX-5やマツダ3のようにいかないのは理解出来ますし、だからこその水平基調なデザインなのでしょうけど、だったらフロントバンパーにムダなぐにゃぐにゃしたラインはいらないと思うんです。マスが大きいのですから余計なことせずに素直に縦は縦、横は横とすれば高級感は出ると思うんですけど。やり過ぎと言えば、リアドアから後輪にかけての抑揚もクセ強すぎですかね?マツダ3セダンでも角度によっては感じていたんですけど、CX-60はさらに誇張されていてドアがぼっこり凹んで見えてドキッとする事があります。
中に乗り込んでみても、前記したように上級グレードでは無かった為さほど感動せず。車の仕上がりがイマイチなら内装高級感でお客さん騙さないといけないのに(笑)。特にステンレス風の華飾パーツの表面にハニカムがプリントされてるだけの仕上げに大きく疑問。無難にスクラッチ風の仕上げに出来ないモノなのか???(後に上級グレードの展示車来たので見ましたが、そちらはそうそうコレコレな仕上がりでした)
前席はセンターコンソールの幅が広いので、大きさの割にタイトな空間イメージ。これは解釈の仕方で助手席との距離が広い方が贅沢に感じる人もいるでしょうし、ラグジュアリーSUVとはいえマツダのスポーティなイメージにはこれぐらいの包まれ感が良いかも知れません。ダメなのは後席もなんか狭いんですよね。このサイズでこの後席か〜って思います。エンジンフロントに縦に積まれてるので仕方ないんでしょうし、この後CX-80も出るのでこれで良いのかな?でもCX-80は3列シートらしいので、結局2列目狭そうな気がします。
まぁそんな感じで最初期型CX-60の印象はあまりよくありませんでした。セールスさんもこりゃ厳しいと思ったのか、試乗時にガンガンダメな所教えて弱点はオープンにする姿勢でしたし(笑)。不思議なのは冒頭に記したように、CX-60は本来発売する時期より遅れて発売してるんですよね。延期したのに仕上がってないのなぜなのか?最初に買ってくれるのは忠誠心の高いマツダファンなので甘えてるんでしょうか。よくスバル車は発売当初のモデルは避けろなんて言われていますが、CX-60が買っても良くなるのはいつからなのか・・・マイチェンでフロントバンパー変わってからですかね?
街中ではボチボチ見かけるようになって来たので、忠誠心の高いマツダユーザーは人身御供になってくれてるんだと思います。ただもろもろキチンと仕上がったとしても立ち位置難しい車だと思います。最大のセールスポイントは直列6気筒エンジンとFR、FRベースの4WDの素直な走り。なんですが、直6はディーゼルだけなんですよね・・・そのディーゼルも燃費指向で3.3Lもありながらパワフル感に掛ける仕様(ただメチャクチャ燃費良いらしいですが)。
3.3Lは税金高くなるのでと安い方を選ぶと2.5Lガソリンノンターボ直4。安いのは内装の仕上がりももひとつ、外観デザインも抜群に格好良いわけじゃない。なのにサイズはムダにデカイ。CX-5が奇跡的なバランスで成立して安いので、そこからCX-60には行くとはとても思えません。もう一回り小さくて3.0L直6ガソリン&ディーゼルエンジン。それがユーザーが求めていたCX-60だったと思います。
チーフデザイナーの萎え発言がありましたが、このCX-60が売れてくれないと直6FRのセダンとクーペが出ないので、マイチェンするなりテコ入れ特別仕様出すなり、早めに売れる車に仕上げて欲しいです。あとここが滞ってるからマツダ2の後継車も出ない。ヤリスのバッチ替えになるとの噂もありますが、エントリーカーが他社OEMだと結局上に繋がって行かないんですよね。スバルみたいになる前にコンパクトもよろしく。早く。(2022.9月発表)
https://carview.yahoo.co.jp/ncar/catalog/mazda/cx-60/FMC001-MC001/
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トヨタ3代目シエンタ
http://sarorac.exblog.jp/33025566/
2023-04-27T03:05:00+09:00
2023-05-02T01:31:06+09:00
2023-04-27T03:05:50+09:00
sarorac
トヨタ
初代シエンタもbBやラウム、ポルテなどと同じくハイトワゴン。ただシエンタだけは後ろ半分をスパシオのプラットフォームを使い7人乗りミニバンとしていました。ところが雨後のタケノコはシエンタにも生えて来て、より安い7人乗りパッソセッテを生み出しシエンタはあっさり消滅してしまいました。
ところがこの安車パッソセッテが販売不振で大失敗。あわてて9ヶ月のブランクを経て初代シエンタは復活。そこから2代目の開発がスタートし結果初代シエンタはモデルライフ12年の長寿車となりました。今回3代目は今の時代としては常識的な7年でのモデルチェンジ。先代がキーンルックを極めた一台だったのに対して、今回は全くキーンルックじゃないデザインが好印象。トヨタはクラウンもプリウスもキーンルックではなくハンマーヘッドという新デザイン言語で作られているので、キーンルック止めるんでしょうね。キーンルック格好悪かったですから。
そんなキーンルックを止めた3代目シエンタですが、このデザインはこのデザインで物議を醸し出しました。とってもパンダでカングーなミニバンだと(笑)。ただ筆者としては、すでに現行パッソがパンダだったのでそれほど抵抗無いんですよね。バランスが崩れた醜いパンダだったパッソに対して、それなりに上手く消化されたシェンタはむしろ好感度が高くこのデザインが売れるのは物凄くわかります。
カラーバリエーションも良く練られていて、油断しているとアースカラーでちょっと1台欲しくなりますよ。ノア&ボクシーの威圧的なデザインが嫌いな人はこっちに流れるでしょうし、他社のライバルホンダフリードと比べても独自の存在感があり、色んな意味で棲み分けが出来た良いデザインです。むしろホンダこそノアボクにはかなわないんだから、ステップワゴンでこの路線に行くべきだったんじゃないですかね。
先代は外観デザインは過激でしたが、内装は絶妙な配色&指し色がなかなかシャレているうえに、実際に触るまでハードプラなのかソフトパッドなのかわからない素晴らしい質感のシボなど、価格帯の割に満足度が高い室内空間でした。対して新型は素直にファブリックを貼って良いモノ感を確保。3色選べる内装色と合わせて心が豊かになる内装になっています。それにしてもどうしてこういう内装をセダンやハッチバックでは出来ないんでしょうかね。黒グレー革内装しか作られないのは、ユーザーが年寄りだから受け入れられないとでも考えているのでしょうか?
スイッチ類はキチンと物理的スイッチが多くてこういう点でも好感が持てます。ただATシフトが例のプリウス式なのはいまいち。なぜこの元のポジションに戻る仕様を採用したがるのか?現在どこに入っているかわかるシフトが正しいと思うんですけど。
試乗車は、ありがちですがハイブリッドの最上級全部乗せグレード。一番良い仕様で奥様ノックアウト、試乗後価格見てノックアウト。結果的に中間グレード購入でちょっと損した感は良いんだか悪いんだか(笑)。まぁこのハイブリッド車は力不足をまったく感じず、急坂を唸りもあげずに粛々と登って行くので素晴らしいです。
昔はハイブリッドこそ経済的と思われてましたが、今や価格差などトータルの経済性を考えたらガソリン車の方が貧乏仕様。むしろ「ハイブリッド」は静粛性や力強さに優れ贅沢感の演出に。時代は変わります。乗り心地はセダンハッチバック系じゃない昨今トヨタの乗り味。ふわふわゆらゆら系で心地良いけど若干強い段差で突き上げ目立ちますね。
今回ベースグレード以外はディスプレーオーディオとコネクテッドナビが標準装備です。オプションナビ追加で20万なんて古くさい商売している他社には見習ってほしいところですが、車両本体価格に含まれているのは5年間のナビ使用権利まで。6年目からは月額880円搾取で1年で1万円オーバーの使用料。なかなか持って行きますわね(笑)。筆者は基本iPhone/Googleナビ接続の人なので、ディスプレーオーディオさえ標準でついてれば問題ないんですけど(ベースグレードはこれの後付け価格がなかなか高価格)、車載ナビ派の人には抵抗ある設定だと思います。
トヨタは、交換時に絶望的な価格になりそうな19インチなどの大型タイヤを採用したり、この6年目からの高額なナビ使用料だったり、強制的に車の乗り換えうながす世知辛い仕組みを作りつつあると思います。3年あるいは5年で乗り換えないと余計な出費が増えますよと。サブスクだったり残価設定ローン向けな車作りで、気に入った車に長く乗れなくするのはちょっと下品じゃないですかね。(2022.8月発表)
https://carview.yahoo.co.jp/ncar/catalog/toyota/sienta/FMC003-MC001/
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日産4代目エクストレイル
http://sarorac.exblog.jp/32979186/
2023-03-31T23:59:00+09:00
2023-06-02T23:24:40+09:00
2023-04-01T03:01:23+09:00
sarorac
日産
本当なら売れ筋のSUVは車種も多くしてモデルチェンジも早めに行うべきなのに、エクストレイルがこんなに放ったらかしになった原因は、eパワー専用車かつ4WDに新技術e-4ORCEを搭載する事にしたからとの事。実際エクストレイルの北米仕様ローグは通常の2.5Lガソリンエンジンを搭載し2年前にデビューしていますし、同じプラットフォームを使用する三菱のアウトランダーも1年前にお披露目されています。
以前は国内でまず新型車を発売し熟成が進んでから海外市場に投入というのが、日本車の評判を高くする常套手段でしたが、昨今は口うるさい日本のユーザーを避ける為か、海外で熟成が進んでから日本市場に投入ということが多くなってきました。今回は新技術の搭載自体は日本市場が先ですが、世界中の情報がリアルタイムで入手出来るこのご時世に、2年も前にデビューした車に新鮮味を感じろというのは無理があります。
実際アリア、ノート、サクラの昨今デビューした日産車と比べても、エッジやパネルの抑揚がちょっと古く感じられますし、そもそもこのデザイン自体も2017年発表のプジョー3008/5008のフォロワーですので、流行り物のSUVだからこそなんとか早めに投入出来なかったのかなと思います。
とはいえ先代の海外市場に引っ張られまったく道具感が感じられない「らしくない」デザインと比べれば、新型はボクシーなスタイルで初代/2代目が正常進化しさらに高級感が追加されたようなデザイン。エクストレイルっぽさでは悪くないです。それより何より、そんな車が出るまでの苦言は試乗した瞬間に吹っ飛んでしまうわけなんですよこれが(笑)。
昨年アリアを試乗したさいに、そのフラッグシップとしてのたたずまいは絶賛しつつ、乗り味自体はもう少し頑張りましょうな評価だったのですが、このエクストレイルにはその時求めていた乗り味が見事に表現されています。現在受注停止中なので店頭に無いこともありますが、是非試乗してみる事をお勧めします。買う買わないは別にしても評価基準としてエクストレイルは乗っておくべき一台です。
筆者は乗り心地にうるさく、それもふわふわ系で柔らかなモノを好みます。運動性能を優先した結果、速度域が高ければフラットになる系の車はあまり評価しません。100キロしか出せずストップアンドゴーの多い日本なんですから。ここ最近の車でふわふわ系の良さを感じたのはカローラクロスとレヴォーグの高い方、N-WGN。でもエクストレイルはただふわふわなだけではなく、調律が行き届いた素晴らしい乗り心地と言えます。
心地よい揺れと余韻の美。
走るにしても止まるにしても、そして曲がる時も常にこの二つが意識されているように感じます。運転の上手い人はブレーキを踏むさいに、止まるか止まらないかの寸前にブレーキを緩めてボディがすっと止まるように調節します(カックンと止まらないようにする)。それがこの車は止まった瞬間に若干揺れるんですよ。これが凄く気持ち良い。グッと止まるわけじゃなくて、止まる運動エネルギーが開放される余韻がある。乗った事無いですけど昔のジャガーとかロールスロイスとかそうだったんじゃないかなと。
日産が昔、ジャガーの味を表現しましたと徳大寺氏にレパードJフェリーを乗せた時に「なるほどタッチは表現出来てる」と評価された事がありましたが、このエクストレイルこそ徳大寺氏に乗ってもらいたかったですよ(笑)。基本絶賛の乗り心地なんですが、唯一目地段差みたいなところでは細かな突き上げを感じます。舗装の荒れた凸凹した道は鷹揚に乗り越えてくれるのですけど、19インチというタイヤサイズのせいなのか、ハンコック製のタイヤのせいなのか惜しい所です。
あとeパワーでエンジン排気量自体は1.5Lしかないのですが実に静かな車です。日産のeパワーはバッテリー容量があるわけではないのですぐにエンジンがかかるのですが、これが本当注意してないと気づかない。それでいて割合大きめな車体をグイグイ引っ張り坂道でも力強くもりもり登って行きます。
室内のしつらえも若干ごちゃごちゃしてますが、最上級グレードは500万もするだけにタンカラーの革シートも選択出来て実に高級。乗り味に相応した世界観が提供出来ています。センターコンソールの一番手をつく部分をピアノブラックにしないで線状のシボを入れたのは慧眼だとは思いますが、このために革ソフトパッド、ピアノプラックパネル、木目調パネル、メッキと要素が多過ぎるのがごちゃつく要因かと。まー中間グレード以下はいつもの黒内装一択なんですけどね。
半導体の影響か現在は受注停止中かつ、FFの廉価グレードもお披露目されていないエクストレイルですが、アリアやサクラに続き技術の日産の底力を感じました。ただやはり本当はこれをフーガやティアナで体感したかったところ。またこれだけの物を作れるのに、中規模メーカーみたいな貧弱なラインナップはどうにかならないのでしょうか?サクラやリーフのバカ値上げにも辟易です。どうして日産にはまともな経営陣がいないんでしょう。(2022.7月発表)
https://carview.yahoo.co.jp/ncar/catalog/nissan/x-trail/FMC004-MC001/
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トヨタ16代目クラウン(クロスオーバー)
http://sarorac.exblog.jp/32956697/
2023-02-28T23:59:00+09:00
2023-03-08T05:14:16+09:00
2023-03-01T02:51:08+09:00
sarorac
トヨタ
ではまず実車に触れてみての感想です。発表前に大きく問題となったのは、クラウンのFF化とSUV化でした(消滅というモノもありましたが(笑))。現状世の中の車の多くがFFかFFベースの4WDですので、クラウンが前輪駆動になっても無くなるよりはマシかと考える人が多かったと思いますが、クラウンがセダンでは無くなってSUVになるというのには、消滅するよりも大きな拒否反応があったと思います。
その後新型クラウンとしてデザインが発表された4台の中には、セダンもキチンと含まれていましたので一安心でしたが、SUV化というのもウソではなく。最初にデビューするクラウンはSUVとセダンのクロスオーバー、その名もクラウンクロスオーバーでした。ただこれSUVナンデスカネ?リフトアップされた4ドアクーペ(セダン)で、SUVの要素ほとんど無いと思うんですよね。リアはハッチバックじゃないですしイスも倒れません。
対して4台のうちのワゴンだとされたエステートは、むしろこれこそ誰もが思い描くSUVで、マカンみたいなクラウンスポーツはクロスオーバーSUVで、トヨタの考えるSUV像と一般の感覚には隔たりが有るように感じます。SUVだSUVだと言われていたので拒否反応があったものの、実際見てみたらクラウンには見えないけれどなんだか格好よいスタイリッシュなセダンだった。それが比較的好感を持って受け入れられている理由だと思います。
外観デザイン、フロントマスクは全くクラウンらしくなく、それでいてグリル部分も空気を取り入れる機能は無くプラッチックの板なのですが、そこにはアルファードのようなワニ革を思わせる下品な柄が装飾されています。とはいえ筆者がデザインで気に入らないのはその点ぐらい。派手なツートンのバイトーンカラーはSF的で未来の車を感じさせて好印象ですし、白黒はともかく意外と単色グレーメタなんかでもこのSF風味は感じられて格好良いです。
では問題の内装です。ドアを開けて気づくのは、車高が高くなっているのでサイドシルの位置も高いのですが、そのサイドシルを昔のサーブのようにドアで覆う形にしているのは服が汚れづらくて良い点ですかね。運転席に座ってみると、一瞬カタログだけでなく目で見た質感もなかなか良いように思えます。デザイン自体がいわゆるトヨタ!クラウン!!な木目テラテラ内装でないのと、巧みな差し色の配置で、黒一色内装「以外」は上手く安っぽさを誤魔化せています。
ただそれもこれも触れた瞬間に魔法がとけてしまいます。ドアのガッカリする位置や一番目立つセンターコンソールにハードブラを堂々と使ってる謎。今回のクラウンはざっくり旧型より100万安くなっています。その為にFF横置きプラットフォーム採用を含めて色々コストダウンされてるのは仕方ないと思うのですが、ハードプラを使う場所はもっと工夫して隠せるのではないでしょうか?なぜこんな目立つ部分に使うのでしょう?
後席に回ってもコストダウンは感じます。FFベース化で足下は大変広いんですけど、前席より一段質感を落とされたドアパネル。クラウンと言えば後席に大事な人を乗せる車でもあったんですが・・・その不足しているくつろぎ感を演出する為か、背もたれがやわらかく変に沈みこむ感じで背中が丸められるのも気持ち悪いです。これでは背中も腰も痛くなりそうです。
この車は結構特殊なサイズの21インチタイヤを履いています。昨今見映えを良くする為にタイヤサイズはどんどん大きくなっていますが、実際問題4.5年乗った後にタイヤ交換をすることを考えると頭が痛くなります。21インチタイヤ4本交換したらいったいいくら掛かるのでしょう。17インチぐらいで格好よく見せられないものかと(18インチまではダウングレード出来るらしいです)。そう言う意味でもサブスクか残価設定ローンで3年ごとに乗り換えるのが正解なんでしょうか(笑)。
その21インチタイヤにビビリつつ運転してみると多少の突き上げは感じるモノのそれほど酷い物ではなく、なかなか上手く大きなタイヤを履きこなしてるとは思います。ただそれ以前に乗り心地乗り味にはなんら感動する部分が無いのが問題。強く踏むと4気筒エンジンがうなりハイブリッドならではの静粛性も足りなく思いますし、乗り味もいかにもTNGAっぽい無味無臭な感じでクラウンらしいしっとり感はありません。先代から希薄だったとは言え、FF化でよりクラウンらしい乗り味からは遠ざかってしまったように思います。
ではまとめます。このクロスオーバーがクラウンらしいかは一旦置いておくとして、前記したようにデザインは格好良いし新味が有るのでかなり注目されると思います。ブラックのバイトーンもインパクトが大きく白一色、黒一色のモノよりディーラーでの集客効果も高そうです。
ある意味今までクラウンが好きじゃなかった人にこの車を買いたいと思わすだけのモノは充分に有り、中途半端な輸入車買ってた人にうっかりクラウンを選択肢に入れさせてしまうインパクトも有ると思います。また旧型より100万値下げしたのも意欲的で、セダンが出るまでの繋ぎに一旦このクロスオーバーを買う人もいるのではないでしょうか?(幸いリセール良いらしいですし)
最初に記したように、このクロスオーバーはトヨタがクラウンでよく展開するブラフの1台です。100万安いFFベース横置きハイブリッドのクロスオーバーをクラウンですと言い張って出す事により、世に問題提起をし「話題」と「議論」で注目させて大きな宣伝効果を生みだします。この車を気に入った人には喜んで買ってもらい、ユーザー年齢層を下げ、さらに世界中でも売ってみせる。
この車を受け入れられない人には、ミライベースのFRセダンクラウンを、多分旧来よりグンと高い価格で売るつもりでしょう。本当にコストをかけた良いモノにはしっかりとした値段をつけ、それを納得してくれる人にだけ売る。言わばセダンがマジェスタの役割でトップオブトヨタ。そして納得してくれる人の数が多ければ次期型があり、少なければ旧来のクラウンは今度こそ消滅するのだと思います。
トヨタは本当の狙いを隠す為にこういう事をよくします。3世代プラットフォーム使い回しを隠す為に派手なイナズマグリルに論点を集め。イナズマグリルアレルギーを軽減する為により派手なピンククラウンを出す。今回は、クラウンは消滅する→SUVになる&FFになるというリークで不安をあおり、出てきたモノはクラウンとしては微妙ですけど新型車としては充分魅力的でセダンに思えなくもない。最初のブラフガツーンと効いてるのでアレルギーが大きくならないんです。
半導体不足で新車への飢餓感があおられたのも奇跡的に良いタイミングでしたよね(笑)。手に入らないと思うと、微妙かと思ったクロスオーバーも俄然格好よく見える人もいるかと。最初は1年で4種類全部出ると言う話しでしたが、結果的に1年に1種類ずつじっくり出る形になってもシリーズ全体成功するのではないでしょうか?(2022.7月発表)
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