シトロエンC5セダン1.6ターボ |
現行C5は全幅が186センチも有る影響で、とにかくデカくて取り回しに気を遣う車という印象だったのですが、この1.6ターボは全くサイズが変わらないのに一回り小さくなったかのような軽快感を感じます。エンジンは2.0と比べると最初の一転がりに力を感じないので、少しアクセルを強く踏む必要が有りますが、そこでアクセルを踏むと言う意識付けが出来れば、後は6ATの変速パターンとターボのおかげで、2.0より力不足を感じることはありません。
むしろこの踏む気にさせるセッティングに慣れると、2.0の4速ATはなんとものんびりした感じで、このエンジンとATがデカい車に軽快感を与えているのは明らかです。さらに、足回りのセッティングも2.0と1.6では違うようで、2.0の場合、ハンドルを切っても戻りが遅い特性上、どうしてもお釣りを気にしてハンドル操作をしてしまいますが、1.6はスパッと頭が入り、そこからの戻りも自然で、キャスターアクションに任せておけば大丈夫な感じです。
乗り心地も、2.0がどんぶらこなら、1.6は猫足的心地よさです。低速では2.0よりショックをとんとんと伝えてきますが、2.0ほどの船に乗ったような揺れは有りませんから、多くの人々には1.6のセッティングの方が、好感を持たれるのではないでしょうか?イメージだけで簡単に言うと、1.6がXantiaなら2.0はXMという感じでしょうか?
これらの特性は、エンジン軽くなったせいだと思っていたら、車両重量自体は2.0より1.6の方が20キロ重い不思議。エンジンの音質は1.6はディーゼルのような雑な音質で正直安っぽいですが、車自体の遮音が行き届いているので、気になって嫌になるほどじゃないです。
6速ATの変速パターンは、とにかくせわしない感じです(笑)。1速などほんの一瞬のみで、4速までは目まぐるしく変わっていきます。普通に加速していく場合は、変速に特に問題ないですが、加減速で、少し微妙な状態になると若干迷ってギクシャクする場面も無くは無いです。ただ上記したように、このATが運転する上での軽快感や、燃費の向上の源になっているのでしょうから、この程度のマイナス面は気にならないのではないでしょうか?
またマニュアルモードでの節度感も、2.0と1.6では大きく違います。2.0ではぐにゅっとしていた節度感が、ドイツ車や日本車のようにコクッときまる気持ちよいモノに。もっともこのATは日本のアイシン製なので当然の仕上がりかも知れません。その他細かな点では、パワーウィンドースイッチなどの表面のゴム塗装をやめて、プラ本来の硬質な感じになってます。新車時の見栄えより、数年後にはげはげになってみすぼらしくなるのを防ぐ方を取った好判断で、VW等のドイツ車勢も見習って欲しいところです。
総じて、自動車評論家達が1.6ターボを絶賛するのが肯ける仕上がりでした。普通の車好きが、ハイドロシトロエンデビューとして選んで間違い有りません。他社の車とは違う快適性を感じつつ、他社の車との違和感もそんなに感じずにすむ、ベストな落としどころと言えるでしょう。ハイドロシトロエンは大概、フルモデルチェンジの当初が固くて、マイチェンでどんどん柔らかくなる傾向だったのに、現行C5は逆なのがちょっと不思議です。
でもね、ハイドロらしいふわふわどんぶらこは、うちの2.0の方が色濃くて好きなんですけどね(笑)。