2009年 07月 27日
トヨタプリウス |
さて発表前から多くの予約を確保していたプリウス。発表後はその勢いにも加速がつき、今注文しても年内どころか年度内の納車も難しそうと言う、近年ではあまり見なかった大ヒット車となりました。いつものように試乗したい車は、発表後しばらく経ってから見に行って、本当に買おうとしている人に迷惑をかけない。そんな訳で今更なプリウスレポートになります。
そもそもホンダのインサイトが、プリウス潰しの為に戦略的な価格で発表されたのが、今にして思えば逆に良い宣伝となった形です。インサイトの登場、価格により、多くのユーザーの中に「ハイブリッドカー」と言う選択肢が生まれ、そこに当初想定されていた価格より大幅に安く、さらにインサイトより確実に良い性能のプリウスが出たのですから、補助金など無くてもヒットは約束されていたようなものです。
展示車でまず外観デザインを確認します。事前に写真等で見ていた印象では、2代目とあまり代わり映えしない言うものでした。しかし実車の印象は、 2代目よりは格好良くなってるなと言う印象です。筆者は初代プリウスのデザインを気に入っていたので、正直凡庸な2代目のデザインにはあまり魅力を感じてません。
それに比べると3代目は幾分マシになった感じですが、それでも同じようなフォルムをしてながらインサイトの方が、はるかに車として格好良い形をしていると思います。初代はハイブリット車として「意識」される事に意味が有ったので、あの当時の国産車の中では「違和感」を感じるデザインで、2代目以降はハイブリッド車として「意識」されないように、凡庸なデザインを選んだのでしょうが、そもそも車としてあまり格好良い形だとは思いません。
ドアを開けて座ってみると、多くの方が感じてるようにセンターコンソールが大きく、室内空間を狭く感じさせます。プリウスはプラットフォームをオーリスと共有しているらしいので(欧州向けオーリスにはハイブリッドが設定されるようです)、このような造形になってしまうのは仕方無いのでしょうが、スープラを思わせるような狭い包まれ感は、ファミリーカーの前席として有り得ないと思います。
もっともこのレイアウトはトヨタ自身も失敗だったと考えているようで、同じプラットフォームを使っているレクサスのハイブリッド専用車HSでは、コンソールが途中でぶった切られ、狭っくるしさが幾分軽減されているようです。
質感自体はトヨタ車としては、はっきりと安っぽいと言えるレベルです。インサイトの価格を知って急遽コストダウンしたのか、ちょっと残念な仕上がり。一番解りやすいところでは、エアコンの吹き出し口から横に銀色のラインが走っているのですが、これが只の塗装で済まされています。このようなデザインにするなら、やはりここはメッキで有りたいところでしょう。
また今回、動作環境等を表示するモニターがかなり小さくなってしまいました。その上表示の色合いが薄くて、意識して見ないと現状を瞬時に判断出来ません。トヨタとしては、普通に乗って貰って充分燃費良く走れると言う意味で、あえてインサイトのような目立つ表示にしなかったんでしょうけど、見やすさ、楽しさを考えるとインサイトの方が良いと思います。
この表示部の考え方は、外観デザインが初代〜3代目でどんどん違和感のないものになって行くのと同じく、トヨタはモデルチェンジ毎に、プリウスの「特別な車」感を消そうとしていると思います。逆にホンダは、シビックで普通の車にハイブリッドシステムを搭載して認知されなかった反動か、インサイトは「ハイブリット専用車で特別な車」で有ろうとしています。ハイブリッドカーとしての考え方自体は、インサイトの方が普通のガソリン車の延長で有ろうとしているのに、なんだか面白い逆転現象だと思います。
室内空間自体はインサイトは当然、先代よりもはるかに後席が座れるようになっています。大体先代の、横から見た時に高さの頂点がルーフの真ん中に来るデザインは、誰がどう考えても、中で座る人間の事を考えて無いのは明らかだったので、今回の頂点が後席側に寄ったのは当然の変更だと思います。
さてさて、では試乗した印象はと言うとどうでしょう?
2代目の時も、初代と比べた印象として「全く普通の車」とつづった記憶があるのですが、それ以上に「普通の車」です。エンジンがどこで始動しているのか、ぼんやりしていると全くわかりません。乗り心地も先代の変な足回りの設定とも違いますし、インサイトの固い乗り心地とも違います。普通に運転していてさほど不満のでない乗り心地だと思います。全体的に、注意していないとハイブリッドカーだと意識させられる点はほとんどありません。
インサイトはアイドリングストップからエンジンが掛かる時、明確に解ります。また低燃費を叩きだすには、それなりの運転テクニックが必要です。始終インパネが青かったり緑だったりしているので、どうしてもエコ運転をしなきゃと強迫観念を抱きます。もちろんプリウスもテクニックを使って運転した方が燃費は良くなりますが、インサイトほどしゃかりきにならなくても、車自身でそこそこの燃費を出してしまうでしょう。
車としての出来の差はそれぐらいあるという事です。ホンダはそこを逆手に取って、コーチング機構をつけて、エコ運転を意識的にする事に楽しみを見いだしてもらおうとしました。それによって、プリウスに完敗な燃費にユーザー自身にの努力によって少しでも迫ってもらおうとしているわけです。これは2番手メーカーとしては大変賢い、逞しい戦略です。
対してプリウスは、普通に乗ってもらって低燃費なんですから、少しでもハイブリッドカーとしての違和感を消そうとしています。3代目プリウスはそう言う意味で、また一歩普通に乗れる車になりました。何もしなくてただ渋滞に巻き込まれているだけでも、燃費が良いんですから言う事有りません。
結論として3代目プリウス。人に勧めるのになんら迷う点はありませんでした。今買って何年か乗ってもリセールバリュー良いでしょうし、その間に大きな技術的変換が無い限り乗り続けても問題無いでしょう。唯一の不満は、大きくせり出したセンターコンソールと、安っぽい室内の質感のみです。あ、内装色もつまらないかな?これだけ売れてるのですから、質感と内装色はマイチェンでどうにかなると思います。へそ曲がりで無い限り、インサイトよりプリウスだと思います。
そもそもホンダのインサイトが、プリウス潰しの為に戦略的な価格で発表されたのが、今にして思えば逆に良い宣伝となった形です。インサイトの登場、価格により、多くのユーザーの中に「ハイブリッドカー」と言う選択肢が生まれ、そこに当初想定されていた価格より大幅に安く、さらにインサイトより確実に良い性能のプリウスが出たのですから、補助金など無くてもヒットは約束されていたようなものです。
展示車でまず外観デザインを確認します。事前に写真等で見ていた印象では、2代目とあまり代わり映えしない言うものでした。しかし実車の印象は、 2代目よりは格好良くなってるなと言う印象です。筆者は初代プリウスのデザインを気に入っていたので、正直凡庸な2代目のデザインにはあまり魅力を感じてません。
それに比べると3代目は幾分マシになった感じですが、それでも同じようなフォルムをしてながらインサイトの方が、はるかに車として格好良い形をしていると思います。初代はハイブリット車として「意識」される事に意味が有ったので、あの当時の国産車の中では「違和感」を感じるデザインで、2代目以降はハイブリッド車として「意識」されないように、凡庸なデザインを選んだのでしょうが、そもそも車としてあまり格好良い形だとは思いません。
ドアを開けて座ってみると、多くの方が感じてるようにセンターコンソールが大きく、室内空間を狭く感じさせます。プリウスはプラットフォームをオーリスと共有しているらしいので(欧州向けオーリスにはハイブリッドが設定されるようです)、このような造形になってしまうのは仕方無いのでしょうが、スープラを思わせるような狭い包まれ感は、ファミリーカーの前席として有り得ないと思います。
もっともこのレイアウトはトヨタ自身も失敗だったと考えているようで、同じプラットフォームを使っているレクサスのハイブリッド専用車HSでは、コンソールが途中でぶった切られ、狭っくるしさが幾分軽減されているようです。
質感自体はトヨタ車としては、はっきりと安っぽいと言えるレベルです。インサイトの価格を知って急遽コストダウンしたのか、ちょっと残念な仕上がり。一番解りやすいところでは、エアコンの吹き出し口から横に銀色のラインが走っているのですが、これが只の塗装で済まされています。このようなデザインにするなら、やはりここはメッキで有りたいところでしょう。
また今回、動作環境等を表示するモニターがかなり小さくなってしまいました。その上表示の色合いが薄くて、意識して見ないと現状を瞬時に判断出来ません。トヨタとしては、普通に乗って貰って充分燃費良く走れると言う意味で、あえてインサイトのような目立つ表示にしなかったんでしょうけど、見やすさ、楽しさを考えるとインサイトの方が良いと思います。
この表示部の考え方は、外観デザインが初代〜3代目でどんどん違和感のないものになって行くのと同じく、トヨタはモデルチェンジ毎に、プリウスの「特別な車」感を消そうとしていると思います。逆にホンダは、シビックで普通の車にハイブリッドシステムを搭載して認知されなかった反動か、インサイトは「ハイブリット専用車で特別な車」で有ろうとしています。ハイブリッドカーとしての考え方自体は、インサイトの方が普通のガソリン車の延長で有ろうとしているのに、なんだか面白い逆転現象だと思います。
室内空間自体はインサイトは当然、先代よりもはるかに後席が座れるようになっています。大体先代の、横から見た時に高さの頂点がルーフの真ん中に来るデザインは、誰がどう考えても、中で座る人間の事を考えて無いのは明らかだったので、今回の頂点が後席側に寄ったのは当然の変更だと思います。
さてさて、では試乗した印象はと言うとどうでしょう?
2代目の時も、初代と比べた印象として「全く普通の車」とつづった記憶があるのですが、それ以上に「普通の車」です。エンジンがどこで始動しているのか、ぼんやりしていると全くわかりません。乗り心地も先代の変な足回りの設定とも違いますし、インサイトの固い乗り心地とも違います。普通に運転していてさほど不満のでない乗り心地だと思います。全体的に、注意していないとハイブリッドカーだと意識させられる点はほとんどありません。
インサイトはアイドリングストップからエンジンが掛かる時、明確に解ります。また低燃費を叩きだすには、それなりの運転テクニックが必要です。始終インパネが青かったり緑だったりしているので、どうしてもエコ運転をしなきゃと強迫観念を抱きます。もちろんプリウスもテクニックを使って運転した方が燃費は良くなりますが、インサイトほどしゃかりきにならなくても、車自身でそこそこの燃費を出してしまうでしょう。
車としての出来の差はそれぐらいあるという事です。ホンダはそこを逆手に取って、コーチング機構をつけて、エコ運転を意識的にする事に楽しみを見いだしてもらおうとしました。それによって、プリウスに完敗な燃費にユーザー自身にの努力によって少しでも迫ってもらおうとしているわけです。これは2番手メーカーとしては大変賢い、逞しい戦略です。
対してプリウスは、普通に乗ってもらって低燃費なんですから、少しでもハイブリッドカーとしての違和感を消そうとしています。3代目プリウスはそう言う意味で、また一歩普通に乗れる車になりました。何もしなくてただ渋滞に巻き込まれているだけでも、燃費が良いんですから言う事有りません。
結論として3代目プリウス。人に勧めるのになんら迷う点はありませんでした。今買って何年か乗ってもリセールバリュー良いでしょうし、その間に大きな技術的変換が無い限り乗り続けても問題無いでしょう。唯一の不満は、大きくせり出したセンターコンソールと、安っぽい室内の質感のみです。あ、内装色もつまらないかな?これだけ売れてるのですから、質感と内装色はマイチェンでどうにかなると思います。へそ曲がりで無い限り、インサイトよりプリウスだと思います。
by sarorac
| 2009-07-27 01:41
| トヨタ